作品タイトル: 私たちの友達 タークゥーン《Our Friend the TarCoon》
作家名: TarCoon☆CarToon
使用素材・技法, サイズ:  (デジタル/Illustrator, (1030mm×1456mm)
制作年: november 2025

解説

この作品《our friend the TarCoon》は、赤のポスター《だってキミ オイラのこと スキでしょ?》と対になっている「青のポスター」です。赤い方では、TarCoon☆CarToonの大きな顔と強いメッセージが、こちらにぐっと迫ってきますが、この青いポスターでは、あえてその「顔」を消しています。画面に残っているのは、右上(上手)から伸びてくる一本の腕と、その手の上にそっと支えられているQRコード、そして小さく添えられた “our friend the TarCoon” という言葉だけです。キャラクターそのものよりも、「偶像とあなたのあいだの関係」を見ていただきたい、という意図があります。

タイトルは、かつて原子力を「未来の友だち」として紹介した《Our Friend the Atom》という作品から取っています。元になった図像では、人の手が画面の下手から上手へ、左から右へと差し上げられ、高いところにある “Atom” に向かって手を伸ばす構図でした。私たちが技術や進歩を仰ぎ見て、「持ち上げている」イメージだと言えるかもしれません。

それに対して、この《our friend the TarCoon》では、手の向きが反対になっています。TarCoonのいる側と想像される上手から、手が下手へと差し降りてきて、あなたのいる世界に入り込んできます。私たちが偶像に近づいていくのではなく、偶像の側から「友だちだよ」と声をかけながら、こちらへ手を伸ばしてくるようなイメージです。右上から左下へ向かう動きには、少し「流れ込んでくる」「割り込んでくる」ような感覚もあります。どう感じられるか、ぜひご自身の身体感覚で確かめてみてください。

手の上に掲げられたQRコードは、単なる情報の入り口であると同時に、小さな祭壇の上に載せられた何かのようにも見えます。もしスマートフォンをかざして読み取れば、あなたは別のレイヤーのTarCoon☆CarToonの世界へと案内されます。その意味で、この手は「友だちの手」でありながら、「どこか別の場所へ招き入れる手」でもあります。

配色には、ミッフィーで知られるディック・ブルーナの絵本とよく似た、はっきりとした青・オレンジ・黒のパレットを用いています。多くの方が「子どもの絵本」「やさしくて安全な世界」を連想される色かもしれません。その「安心できる色」の上に、“our friend the TarCoon” とQRコードを載せることで、見た目のやさしさと、内側に潜んでいるかもしれない力とのあいだに、少しだけズレをつくろうとしています。危険なものや強い影響力を持つものほど、やさしい顔で近づいてくることもあるのかもしれない──そんな問いかけも、この配色には込められています。

“our friend(わたしたちの友だち)” という言い方にも、ささやかな意図があります。特定の誰かの「マイ・フレンド」ではなく、「わたしたちみんなの友だち」としてTarCoonを提示しながら、同時に、私たちがSNSのアカウントやキャラクター、アルゴリズムを、軽やかに「フレンド」「推し」と呼んでしまう感覚も、そっと映し出しています。

このポスターの前に立つとき、あなたはTarCoonに近づいているのでしょうか。それとも、すでにTarCoonの差し出す手の届く場所に立っているのでしょうか。青い背景と一本の手、そしてQRコードのバランスを眺めながら、自分と「our friend the TarCoon」との距離を、ゆっくり感じてみていただけたらうれしいです。

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