無尽講 という金融サービスの歴史と仕組みを解説!頼母子や模合、海外のマイクロファイナンス ROSCA についても紹介

現在、資金調達や資金繰りに悩んでいる方はいるかと思います。 無尽講 という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか?無尽講 は、古くから日本で利用されている資金の共有システムであり、参加者同士が互いに支え合い、信頼関係を築くことができます。

銀行や金融機関からの融資が難しい状況でも、無尽講は皆さんの資金繰りをサポートする可能性があります。さらに、無尽講に参加することで、地域のコミュニティを強化し、経済的自立につながることも期待できます。地域活性化やネットワーク形成も促進されることから、新たなビジネスチャンスや人間関係が生まれることもあります。

無尽講に参加する際には、信頼できる組織や人々と共に取り組むことが大切です。また、無尽講に関するルールや法律を理解し、リスクを最小限に抑えることも重要です。

皆さんが無尽講を通じて、資金調達の手段を見つけるだけでなく、地域やコミュニティのつながりを深めることができるよう、ぜひ検討してみてください。無尽講を利用して、皆さんの夢や目標に向かって一歩一歩進むことができることを心から願っています。

What is MUJIN?

無尽とは?

無尽を一言でいうならば「共同資金調達」

無尽とは、一定の口数や給付金額を定めて加入者を集める資金調達や投資の仕組みで、加入者が積み立てた定期的な掛金に基づいて、抽選や入札などの方法により、順番に給付を受ける制度のことです。無尽は、参加者間で資金を共有し、互いの資金繰りや資金調達を助け合う目的で設立されます。

本記事では、無尽講の歴史、仕組み、活用方法、注意点について解説します。これを通じて、無尽講の理解を深め、効果的な活用方法を身につけましょう。

無尽講 の歴史

無尽講は、鎌倉時代から始まったとされ、建治元年の十二月に「猿川真国神野三箇庄庄官請文」に「憑支(たのもし)」という言葉が文献に出てきたのが日本では最初とされています。無尽講は頼母子講(たのもしこう)と呼ばれていたりもするように、どちらも大体同じ意味合いで使われます。地域によって使い分けられていたりしますね。同じような意味合いで沖縄では模合(もあい)と言われています。無尽講は、江戸時代には商人や農民が資金繰りや共済の目的で利用していました。近代日本では、家庭や地域内で資金需要をまかなうために広く普及し、多くの人々に利用されました。現代でも、無尽講はコミュニティや地域金融の形態として存続し、人々の経済活動を支えています。

無尽講 の起源

無尽講の起源は明確ではありませんが、一般的には中国が起源とされています。古代中国の『韓非子』という書物に「鄰里共謀」(りんりきょうぼう)という言葉が記述されており、これが無尽講の起源とされることが多いです。鄰里共謀は、近隣住民が集まり、互いに金銭を出し合って支え合う仕組みを意味します。

日本においては、無尽講は平安時代から記録に残っています。特に鎌倉時代以降、無尽講は寺院や神社を中心に発展し、その後も江戸時代を通じて庶民や商人たちの間で普及していきました。

無尽講は古くからアジア諸国で見られる制度であり、日本や中国だけでなく、韓国やベトナムなどの国々でも無尽講に類似した制度が存在しています。これらの国々では、無尽講は地域コミュニティの絆を強化し、資金繰りや資金調達を助ける役割を果たしてきました。

時代ごとの 無尽講 の役割の変化

無尽講の歴史は、日本の経済史と深く関連しており、時代の変遷とともにその役割も変化してきました。以下に、無尽講の歴史を詳しく解説します。

鎌倉時代の 無尽講

鎌倉時代の無尽講は、現在の無尽講と似た仕組みで、金融資源を共有することを目的としたものでした。ただし、鎌倉時代の無尽講は、主に寺院や神社などの宗教団体によって運営されていました。

この時代において、宗教団体は地域社会の中心的役割を果たし、信者や地域住民が資金を寄進することで、地域の公共事業や寺院・神社の建設・維持に資金を提供していました。寺院や神社は、無尽講を通じて信者や地域住民から集められた資金を管理し、必要に応じて信者や地域住民に資金を貸し付けることがありました。

鎌倉時代の無尽講は、現代の無尽講と同様に、地域コミュニティの絆を強化し、信頼関係を築く役割を果たしていました。また、信者や地域住民が資金を提供することで、地域の発展や公共事業に貢献していたとされています。

鎌倉時代

江戸時代の 無尽講

江戸時代(1603年~1868年)には、無尽講の原型となる「無尽(むじん)」が存在していました。無尽は、主に商人や農民たちが、資金繰りや共済の目的で利用していました。特に農民は、稲作に必要な資金を無尽を通じて調達していたとされます。また、商人たちは無尽を利用して事業資金を調達し、商売の拡大に役立てていました。このように、無尽は江戸時代の経済活動の中で重要な役割を果たしていました。

江戸時代

近代日本の 無尽講

明治時代(1868年~1912年)に入ると、日本の経済は急速に近代化され、金融システムも変革が進みました。この時代には、無尽講が家庭や地域内で資金需要をまかなうために広く普及しました。商工業の発展や都市化が進む中で、無尽講は個人や企業の資金調達手段として活用され、経済発展に寄与しました。

大正時代(1912年~1926年)から昭和時代(1926年~1989年)にかけては、戦争や高度経済成長期など、社会経済の変動が激しく、無尽講は安定した資金調達手段として重宝されました。また、この時期には、労働組合や企業内での無尽講も登場し、さらなる発展を遂げました。

近代日本

現代日本の 無尽講

平成時代(1989年~2019年)以降の現代日本では、銀行やインターネットを活用した金融サービスが普及し、無尽講の役割は変化しました。現在では、無尽講は主にコミュニティや地域金融の形態として存続しています。また、無尽講は社会的つながりや信頼関係を強化する役割を果たし、参加者同士のコミュニケーションが深まることで、地域コミュニティの活性化や絆の強化に貢献しています。
地域金融機関やNPO、社会福祉法人などが主催する無尽講も現れており、地域経済の発展や社会福祉の向上を目指す取り組みが行われています。また、新しい無尽講の形態として、オンラインプラットフォームを利用した無尽講も登場しており、デジタル技術を活用した資金運用が可能になっています。
要するに、無尽講の歴史は、日本の経済史と密接に関連し、時代に応じてその役割や活用方法が変化してきました。現代日本では、無尽講が地域コミュニティの強化や社会的つながりの維持に寄与し、金融サービスの多様化やデジタル技術との融合により、さらなる発展が期待されています。

現代日本

近未来日本の無尽講

近未来の日本では、テクノロジーの発展と社会的ニーズの変化によって、無尽講の形態はさらに進化を遂げています。デジタル化とグローバル化が進む中、無尽講は伝統的な地域コミュニティや家族間の金融支援の枠を超え、国境を越えたネットワークへと拡大しています。

ブロックチェーン技術の導入により、無尽講は透明性と信頼性を高め、参加者間の直接的な金銭のやり取りを可能にしています。この技術によって、管理コストの削減と効率化が実現し、より多くの人々が安心して参加できるプラットフォームが提供されています。また、スマートコントラクトを活用することで、契約の自動実行が可能となり、無尽講の運営における手続きの簡素化と迅速化が進んでいます。

AI技術の発展は、無尽講参加者の信用度評価や資金需要の予測に活用されており、個人の経済状況や資金ニーズに応じたカスタマイズされた金融サービスの提供が可能になっています。これにより、無尽講はよりパーソナライズされ、利用者の多様なニーズに応える柔軟な金融ソリューションとなっています。

環境問題や社会貢献に対する意識の高まりを背景に、サステナブルなプロジェクトへの投資や地域社会の課題解決を目的とした無尽講も登場しています。参加者は自らの資金を意義ある活動に投じることで、社会的なインパクトを生み出しながら、経済的なリターンも期待できるようになっています。

さらに、バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)技術の活用により、オンライン上での無尽講のミーティングや交流が実現しています。これにより、地理的な制約を超えたコミュニティの形成が可能となり、より広範なネットワーク内での相互支援が促進されています。

近未来の無尽講は、デジタル技術の進化と社会的ニーズの変化に応じて、金融サービスの枠組みを再定義しています。伝統的な地域コミュニティの絆を維持しつつ、グローバルな規模での連携と支援を実現し、新たな経済活動の形態を創出しているのです。このように、近未来の無尽講は、テクノロジーと人間性が融合した新しい社会の金融モデルとして、さらなる発展が期待されています。

近未来日本の無尽講

無尽講 に関する書籍

無尽講に関する知識を深める際の参考文献は、どの面から無尽講を知りたいかによっておすすめの本が変わってきます。参考になる文献として、池田龍蔵の「稿本無尽の実際と学説」森嘉兵衛の「無尽金融史論」テツオ・ナジタの「相互扶助の経済―無尽講・報徳の民衆思想史」、そして桜井徳太郎の「講集団成立過程の研究」が挙げられます。これらの著作を通じて、無尽講の歴史、それに関連する思想、そして社会的背景を深く理解することができます。

  • 池田龍蔵「稿本無尽の実際と学説」
    • 概要: 無尽講の種類や学説を端的に解説。
    • 特筆点: 国立国会図書館のデジタルアーカイブでアクセス可能。

池田龍蔵の「稿本無尽の実際と学説」は、無尽講のさまざまな種類や学説を端的に解説している一冊です。興味が湧いた方は、国立国会図書館のデジタルアーカイブで内容を確認できます。

  • 森嘉兵衛「無尽金融史論」
    • 概要: 中世から近代にかけての無尽講の変遷と、それに伴う社会構造の変質を考察。
    • 特筆点: 無尽講に関する論文で頻繁に引用される基本文献。

次に、森嘉兵衛の「無尽金融史論」は、中世から近代にかけての無尽講の変遷と、それに伴う社会構造の変質を詳しく考察しています。この著作は、無尽講研究の基本文献として頻繁に引用されるため、基本として押さえておくと良いでしょう。

  • テツオ・ナジタ「相互扶助の経済―無尽講・報徳の民衆思想史」
    • 概要: 無尽講と思想を組み合わせてのダイナミックな考察。近代国家の思想への影響も議論。
    • 特筆点: 思想と無尽講の組み合わせが特徴的。ただし、内容には賛否が分かれるかもしれません。
    • 購入情報: 現在も新品で入手可能。

テツオ・ナジタの「相互扶助の経済―無尽講・報徳の民衆思想史」では、無尽講と民衆の思想がどのように絡み合い、その結果としてどのような社会的影響が生まれたかを詳しく解説しています。この著作は、無尽講と思想が交差する点で非常にユニークな視点を提供しています。

  • 桜井徳太郎「講集団成立過程の研究」
    • 概要: 民俗社会の講集団の全般を解説。
    • 特筆点: 無尽講に関する記述は少ないが、多様な講についての情報が網羅的。

最後に、桜井徳太郎の「講集団成立過程の研究」は、民俗社会における講集団の成り立ちやその特徴を詳しく紹介しています。無尽講に関する情報は少ないものの、さまざまな講に関する総合的な情報を得たい方にはオススメの一冊となっています。

相互扶助の経済──無尽講・報徳の民衆思想史【新装版】
¥5,940  税込
テツオ・ナジタ  (著), 五十嵐暁郎  (監修), 福井昌子  (翻訳)
  • 出版社 ‏ : ‎ みすず書房 (2022/6/20)発売日 ‏ : ‎ 2022/6/20
    言語 ‏ : ‎ 日本語
    単行本 ‏ : ‎ 400ページ
    ISBN-10 ‏ : ‎ 4622095343
    ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4622095347
    寸法 ‏ : ‎ 13.8 x 3.3 x 19.5 cm

相互扶助の経済── 無尽講 ・報徳の民衆思想史

慢性的な飢饉に苦しんでいた徳川時代の民衆は、緊急時の出費に備え、村内で助け合うために無尽講、頼母子講、もやいなどの「講」を発展させた。当時の民衆の識字率は高く、商いや貯蓄に関して議論し、冊子を作り、倫理は社会的実践に不可欠であるという明確なメッセージも発信したのである。その思想の根底には、伊藤仁斎、安藤昌益、貝原益軒、三浦梅園などの思想を汲む確固たる自然観があった。
徳川末期になると、二宮尊徳のはじめた報徳運動が、村の境界を越えて講を結びつけ、相互扶助的な契約をダイナミックに広げた。その後、講の手法は無尽会社を経て相互銀行に引き継がれていく。
著者は、大阪にあった徳川時代の商人学問所、懐徳堂を調べていたとき、町人知識人の思想が学問所の壁を越えて広がっていることに気づいたという。元来、公的な政治秩序の外側で形成されたこれらの営みは、明治維新後は、国の法体系にどう吸収されていったのだろうか。少なくとも、新しい翻訳語「経済」からは「民を救済する」という意味が脱落するなど、民衆の歴史は劣性遺伝子になっていく。この近代化の社会史が本書では追跡される。
明治初期の混乱や太平洋戦争後の激動を庶民が生きのびたのは、講の精神が脈々と受け継がれたからだった。著者は地方の相互銀行の書庫まで入念に調べ、この歴史がはらむ驚くべき現代性に光を当てる。
卓越した歴史家の観察眼と想像力の結晶であり、日本思想史学の里程標であろう。

みすず書房の本 書誌情報 相互扶助の経済【新装版】

テツオ・ナジタ氏の『相互扶助の経済』は、日本の経済思想と社会の変遷を深く探るユニークな研究書です。徳川時代から明治維新、そして近代へと、日本人の相互扶助の精神とその実践がどのように進化してきたのかを、具体的な「講」や「報徳」などの事例を通して解明します。

本書の特筆すべき点は、著者がアメリカの研究者として、日本の経済思想を独自の視点で捉えていることです。特に、無尽講や頼母子講など、日本独特の相互扶助システムが、単なる経済活動ではなく、人々の間の絆や信頼の形成に大きく寄与してきたことが、詳細に語られます。また、このシステムが明治維新や近代化の中でどのように変容し、現代の相互銀行などに継承されているのかも、興味深く読むことができます。

ナジタ氏の筆致は緻密でありながら、読みやすい。彼の洞察力と豊富な知識は、日本の歴史や経済、そして人々の日常生活における相互扶助の精神の重要性を強調しています。特に、本書の終章である「断片的な言説」では、現代の経済システムや消費文化の中で、相互扶助の精神がどのように生き残っているのか、またその精神がこれからの日本社会にどのような役割を果たすのかについての洞察が示されます。

私自身、他の著者の書籍もいくつか読んできた中で、この『相互扶助の経済』が最も印象的であったと感じています。特に、二宮尊徳の報徳運動に関する部分では、彼の行動や思想が、日本の近代化や経済の発展にどのように影響を与えたのか、新たな視点から理解することができました。

結論として、『相互扶助の経済』は、経済や思想に関心のあるすべての人々に読む価値のある一冊です。ナジタ氏の独特の視点と深い洞察力によって、日本の経済思想と社会の変遷を新たな角度から理解することができます。この本は、私たちが日常生活の中で経験するさまざまな経済活動が、実は長い歴史と深い哲学に根ざしていることを、鮮明に浮かび上がらせてくれます。

沖縄のもあい大研究  模合をめぐるお金、助け合い、親睦の人類学
沖縄のもあい大研究: 模合をめぐるお金、助け合い、親睦の人類学
¥2,420  税込
  • 出版社 : ‎ボーダーインク
    発売日 : ‎2023/11/30
    言語 : ‎日本語
    単行本 : ‎288ページ
    ISBN-10 : ‎4899824556
    ISBN-13 : ‎978-4899824558
    寸法 ‏ : ‎ 12.7 × 1.8 × 18.8 cm

沖縄のもあい大研究: 模合をめぐるお金、助け合い、親睦の人類学

もあい(模合)、面白すぎる!
沖縄の庶民金融である「もあい」は、庶民を支えるユイマール(相互扶助)か、それともただの飲み会か?!文化人類学者がフィールドワークで出会った驚きの模合の数々。沖縄社会を支えぐるぐるまわしてきた模合の過去、現在、未来をさぐるユニークな沖縄現代史。
模合をやっている人も、やったことない人も、誰かに話したくなる「はなしのタネ」がたくさん詰まっています。

※もあい(模合)は「頼母子講・無尽講」と呼ばれ日本全国にあった慣習でした。沖縄では、現代も庶民金融であり相互扶助、親睦グループとして、盛んに行われています。

■「模合」にヒミツってあるの?《「はじめに」から要約》

沖縄で暮らしている人なら、こういう光景を目にしたことがあるだろう。
レストランで賑やかにひとしきりおしゃべりしていたかと思うと、おもむろに財布や封筒からお金を取り出して集めだす女性たち。居酒屋でビール、泡盛を楽しそうに飲みながら、集められたお札を数える男性たち。よくみれば、手元のノートに何やら書いている人がいる。やがてそのお金はみんなが注目しているなか、おもむろに特定の人に渡される……。べつに怪しい取引ではなく、沖縄のあちこちで、ほぼ毎日繰り広げられている光景である。それは「模合(もあい)」と呼ばれる、沖縄では誰もが知っている「慣習」である。長年模合に参加してきたという人もたくさんいるだろう。「ただの飲み会なのに何を調べるの?」「模合になんのヒミツがあるの?」多くの模合は楽しい飲み会や食事会であり、なんのヒミツもないようにみえる。模合に参加してどんなに目を凝らしても、楽しく飲食している人たちがいるばかり。「ただの飲み会」と思われている「模合」だが、実は様々な歴史的変遷をへて、現在の姿となった。
本書では、第一章で、世界のなか、そして日本のなかでの沖縄の「模合」の位置づけを考え、第二章から第四章までは、琉球王国時代からつづく「模合」の役割をまとめてみた。いわば「歴史編」である。
第五章から第一〇章までは、いよいよフィールドワークから見えてきた模合の諸相をまとめた「現代編」である。現在の模合に関心がある方は、ここから読んでいただいてもいいかもしれない。そこから見えてきたものは、実にさまざまな理由で模合が始められ、いろいろな人びとが模合を通してつながっている姿だ。
第一一章と第一二章は、沖縄の模合のこれからを考える「未来編」である。模合の最大の危機ともいえる新型コロナウイルス感染拡大は、模合をどのように変えたのだろうか。また最近、コロナに関係なく、沖縄の若者は模合をやらなくなっているという話をきく。若者が模合をやらなくなると、模合はどうなってしまうのだろう。
それでは、いま模合をやっている人も、初めて模合と出会った方も、みんなが知っているようで知らない「模合」をめぐる旅に、これからお付き合いいただきたい。

『沖縄のもあい大研究  模合をめぐるお金、助け合い、親睦の人類学』平野(野元)美佐著

無尽講 の仕組みと特徴

無尽講の基本的な仕組みは、会員同士が一定額の資金を出し合い、その資金を融資や投資のために利用することです。これにより、会員は助け合いながら資金繰りを行うことができます。また、無尽講は社会的つながりを強化する役割も果たし、参加者同士の信頼関係やコミュニケーションが深まります。

無尽講 の基本的な流れ

無尽講は、通常、定期的に会合が開かれます。会合では、参加者が出資金を持ち寄り、合計金額が出揃った後、それを一人または複数の参加者に貸し出すか、共同で投資することが行われます。この貸出金や投資金は、事前に決められた利子付きで返済されることが一般的です。

無尽講 順番の決め方

無尽講では、資金を受け取る順番が重要です。順番は、初回の会合で抽選や競りによって決められることが多いです。また、参加者同士の事情や需要に応じて、話し合いで順番を決定することもあります。

無尽講 返済の仕組み

無尽講の返済は、定期的な会合において行われます。資金を受け取った参加者は、利子を含めた金額を分割して返済していきます。これにより、無尽講全体の資金が徐々に回収され、次の融資や投資に活用されます。

社会的つながりと信頼関係の強化をする 無尽講

無尽講は、参加者同士の助け合いが基本であり、信頼関係が非常に重要です。そのため、無尽講に参加することで、コミュニティの絆や信頼関係が強化されます。また、無尽講の会合では、情報交換や人間関係の構築が行われ、ビジネスチャンスや人脈の拡大にもつながります。

柔軟性とアクセシビリティ

無尽講は、銀行や金融機関とは異なり、参加者同士が自主的に運営することが多いため、柔軟性があります。これにより、資金調達の方法や利子の設定、返済期間などが、参加者のニーズに合わせて調整できることが特徴です。また、無尽講は地域やコミュニティに密着しているため、利用しやすいというアクセシビリティがあります。銀行や金融機関とは異なり、審査が厳しくない場合もあり、資金調達のハードルが低いとされることが無尽講の魅力の一つです。

無尽講は、地域やコミュニティの中での資金調達を柔軟に行えるシステムであり、参加者同士の信頼関係や社会的つながりを強化する役割も果たします。その特徴は、資金需要に応じたアレンジが可能であることや、アクセシビリティが高いことが挙げられます。これらの点から、無尽講は現代社会においても、多くの人々に利用され続けている金融システムとなっています。

無尽講 の活用方法と効果

無尽講は、資金調達や投資の手段として活用されることが多く、個人や事業者にとって有益な選択肢となります。無尽講は融資や投資を通じて、資金繰りに苦しむ個人や事業者に一時的な金銭的支援を提供し、経済活動を円滑に進めることができます。特に、銀行などの金融機関から融資を受けることが難しい中小企業や個人事業主にとって、無尽講は貴重な資金調達手段となることがあります。

さらに、無尽講は地域活性化や経済的自立にも貢献することができます。無尽講は地域内で資金を循環させることにより、地域経済の発展を促す役割を果たします。地域の中小企業やスタートアップ企業が無尽講を活用することで、事業の拡大や新規事業の立ち上げが容易になり、地域経済の活性化に繋がります。

また、無尽講はコミュニティづくりやネットワーク形成を促進します。無尽講に参加することで、参加者同士は互いの事業や家庭状況を共有し、相互の支援を行うことができます。このようなプロセスを通じて、参加者同士の信頼関係が築かれ、地域の一体感や絆が強まることが期待されます。無尽講がコミュニティの絆を強化することは、地域住民が協力して社会課題に取り組む意欲を高めるとともに、地域内での情報共有や相互支援を促進し、地域全体の安定や発展に寄与する可能性があります。

無尽講の活用方法と効果は多岐にわたりますが、その根底には互いに助け合いながら資金繰りを行うというコンセプトがあります。無尽講は個人や事業者が資金調達を円滑に行うための手段であるだけでなく、地域活性化や経済的自立にも貢献しています。参加者同士が助け合い、互いに支援することで、無尽講は地域のコミュニティを強化し、相互の信頼関係を築くことができます。

無尽講を活用することで、中小企業や個人事業主は銀行などの金融機関からの融資が困難な状況でも、資金繰りを円滑に進めることが可能になります。また、無尽講は地域内で資金が循環し、地域経済の発展を支援します。これにより、地域内の雇用創出や事業の拡大が促され、経済的自立を目指す個人や事業者にとって、無尽講は貴重な資金調達手段となります。

さらに、無尽講はネットワーク形成や情報共有を促進し、地域住民が互いに連携して社会課題に取り組む機会を増やすことができます。無尽講が強力なコミュニティづくりのツールとして機能することで、地域住民は互いに助け合い、相互支援を行いながら、地域全体の安定や発展に寄与することが期待されます。

無尽講の活用方法と効果は、個人や事業者、地域社会にとって重要な役割を果たしています。資金調達の手段として活用するだけでなく、地域活性化や経済的自立、コミュニティづくりやネットワーク形成を促進する無尽講は、今後も多くの人々にとって有益な選択肢として続いていくことでしょう。

動画で見る具体的な活用事例 頼母子:故郷をつなぐ助け合いの風習

NHKによる岐阜県郡上市八幡町の特集では、町の古来からの風習「頼母子」に焦点が当てられました。江戸時代に交通の要所として繁栄したこの町では、頼母子という独特の互助活動が長きにわたり続けられてきました。

頼母子、または「無尽講」として知られるこの風習は、参加者が定期的に金額を集め、特定の方法で分配するものとなります。事例として紹介する頼母子ではユニークな方法が取られていて、セリの形式でお金を分け合い資金の必要性に応じて参加者が金額を提示します。お金が必要な時には高い金額をつけて、必要がなければ低い金額をつけて他の人に譲るというやり方です。

近年の頼母子活動は、単なる金銭の貸し借りだけを目的としないものも増えています。町の中での交流の場として、または同じ職場や学年の仲間内での交流のため、さらにはお祭りや地域活動のための資金集めとして利用されることも。ただの活動以上に「みんなでやる」という共同体意識を高め、参加する喜びや価値を感じさせてくれるのかもしれません。故郷をつなぐ頼母子。頼母子の本質は、共同体としての絆を深め、互いを支え合う精神を象徴しています。

NHKの取材は、この伝統的な風習の現代における存在感とその意義を深く掘り下げています。興味を持たれた方は、詳細はNHKの公式サイトで動画をご覧いただけます。

教育や地域社会を支える 講集団

前述の「頼母氏」「無尽講」のように、日本の地域社会にはさまざまな講集団が存在してきました。これらの講集団は、地域を形成し維持するための絶対的な要素としての役割を果たしてきました。歴史を辿ると、特に地方史には講集団の活動やその存在が頻繁に記述されており、それらの大きな影響力が窺えます。

例として、2022年には三重県尾鷲市天満浦で、民間信仰を基盤とした「庚申講」が復活する動きが見られました。元々「庚申講」は、庚申の日の夜に健康や長寿を祈願する目的で徹夜しての交流が行われる講集団でした。しかし、時代の流れや参加者の高齢化、生活環境の変化などにより、現代では徹夜を避けて昼間に短時間交流する形に進化しています。このように、講集団は時代や参加者のニーズに合わせて柔軟に変化してきたのです。

信仰を元にした講集団だけでなく、相互扶助や経済的なサポートを目的とした講集団も日本各地に存在しています。これらの講集団は、知識や情報の共有の場としても機能し、地域社会の知的水準を向上させる役割も果たしてきました。

講集団の仕組みは、日本独特のものではなく、アジアやアフリカなど、多くの地域で似たような形で実践されています。これらの小規模ながらも広範囲に存在する講集団は、人々の相互協力の普遍的な価値を示しており、地域社会を支える智慧の結晶と言えるでしょう。

尾鷲市天満浦の住民が古くからの風習、「庚申講」を現代風にアレンジして再開したというニュースが話題となっています。庚申講は、60日ごとの「庚申こうしんの日」に、集落の住民が眠らない夜を過ごし、健康や長寿を願う伝統的な行事であり、かつては日本各地で行われていたものの、近年では見られることが少なくなっていました。特に天満浦地区では、15年以上前にこの風習が途絶えてしまっていましたが、地域の高齢者を中心に、従来の徹夜ではなく昼間に短時間の交流を持つ形で復活させる動きが生まれました。この活動の背景には、コロナ禍や高齢化が進む中での住民同士の絆を深める意義があり、新しい形の庚申講は、地域の中での交流や見守りの場として大切な役割を果たしています。

分割払いの走り!?輪島塗のお椀を買うための無尽講「椀講」

令和6年に能登半島地震によって大きな被害を受けた輪島市ですが、この地域には「椀講」や「輪島講」と呼ばれる独自の講が発展しました。これらの講は、日本の伝統的な金融システム「無尽講」の一種であり、高価な輪島塗のお椀を手に入れるために考案されたものです。

輪島塗は、石川県輪島市で生産される日本を代表する漆器の一つです。その製法は、数百年にわたって受け継がれており、丁寧な下地作り、繊細な漆の塗り重ね、美しい蒔絵や彫金など、熟練の技術を要するため、非常に高価です。そのため、一般の人々にとって、輪島塗のお椀を手に入れることは容易ではありませんでした。

輪島塗のお椀を購入するために考案された「椀講」や「輪島講」は、複数の人々がお金を出し合い、その集められた資金で輪島塗のお椀を購入し、参加者の中から抽選や順番によって一人ずつにお椀を給付するというシステムです。これにより、参加者は一括で高額な費用を支払うことなく、輪島塗のお椀を手に入れることが可能になりました。

このシステムは、今でいう分割払いや共同購入の仕組みに似ており、互助会の精神に基づいています。各参加者は定期的に一定額を出資し、その積み立てられた資金を使って、輪島塗のお椀を順番に購入していきます。これにより、経済的な負担を分散しながら、高価な輪島塗の品々を手に入れることができるのです。

椀講や輪島講は、単に経済的な仕組みを超えて、地域社会の結びつきを強化し、共同体の精神を育む文化的な価値も持っています。参加者たちは、お椀を通じて共通の目的を持ち、助け合い、お互いの成功を願うことで、地域社会の一体感を深めることができました。

輪島塗のお椀を購入するために生まれた椀講や輪島講は、その高価さから手が届かなかった輪島塗を、多くの人々が楽しむことができるようにした画期的なシステムです。椀講は、輪島塗の高価なお椀を手に入れるための独特な方法であり、輪島塗のお椀が広く流通し、全国的に知られるようになる大きなきっかけとなりました。これらの講は、単に経済的な仕組みを超えて、地域社会の結びつきを強化し、共同体の精神を育む文化的な価値も持っていることが分かります。

「輪島講」を受け継ぐ塩安漆器工房の伝統と挑戦

現代でも「椀講」「輪島講」という販売方法を受け継いでいらっしゃる塩安漆器工房があります。その三代目当主塩安眞一氏が「輪島講」に関する文章を寄せて下さっていましたので、引用させていただきます。

椀講とか輪島講とか呼ばれている伝統的な輪島塗の販売方法、今ではやっているのはうちだけになってしまいました。鳥取で現在5つの輪島講をやっています。
私の祖父が明治の後半に鳥取で始めてから、第二次大戦中を除いてず~っと鳥取に行ってます。祖父は明治、大正、昭和の大戦前まで、父は祖父に連れられて戦前から行き始め、戦後は一人で行き、昭和55年からは私と父で15年位、あちこち輪島講を開いてもらいながら二人で回りました。長い時は2カ月鳥取に居たこともあります。
その後は、私一人のこともあったし、社員を連れて行ったこともありましたが、5年前から息子と行ってます。
現在の講の世話人さんの中には、子供のころに私の祖父が家に来ていたのをしっかり覚えている方もいらっしゃいます。下駄をその方のおじい様が買って下さったのだそうで、鼻緒を代えながらまだ使っていらっしゃるそうです。息子まで含めるとその方とは親子4代でお世話になっている事になります。凄いですよね!
こんな古い商売、そして大変な商売だけどありがたい商売、お客様と塩安との絶対的な信頼がないと成立しない商売です。これは絶対に大事にしなくてはなりません。お納めする輪島塗の品質は勿論ですが、人間的にもちゃんと付き合えなくては続きません。30代の若い講員もできてきました。まだまだ輪島講続けますよ!

http://www.handmadejapan.com/sidestory_/sst332_01.htm

無尽講 の注意点とリスク

無尽講には、違法なものや信用リスクが伴う場合があります。違法な無尽講に関与する前に、その組織が適法であるか確認することが重要です。また、信用リスクに関しては、資金管理の徹底が求められます。無尽講に参加する際には、法律や規制の遵守を心がけましょう。適切な情報収集やリスク管理が、無尽講の活用成功に繋がります。

リスクと注意点

無尽講には、参加する際に注意すべき点やリスクが存在します。以下に、無尽講の注意点とリスクについて詳しく解説します。

  1. 違法 無尽講

違法無尽講は、法律に抵触する無尽講のことを指します。例えば、過剰な利子(高利貸し)や、出資金の横領・詐欺行為が行われる場合があります。違法無尽講に参加すると、法的な問題が発生する可能性があるため、注意が必要です。

  1. 信用リスク

無尽講は、参加者同士の信頼関係に基づいて運営されることが多いため、信用リスクが伴います。返済能力の低い参加者や、資金の運用が適切でない場合、無尽講全体に悪影響を及ぼすことがあります。また、無尽講の運営に不透明な点が多い場合も、信用リスクが高まることが考えられます。

  1. 無保証性

銀行や金融機関と違い、無尽講には預金保険制度が適用されません。したがって、無尽講が破綻した場合、出資金を取り戻すことが困難になることがあります。このリスクを考慮して、無尽講への参加を検討することが重要です。

  1. 無尽講 運営者の信頼性

無尽講は、運営者の信頼性が大変重要です。運営者が経験豊富で適切な運用が行われる場合、無尽講は安全に利用できますが、逆に運営者が不適切な場合、資金の損失や法的な問題が発生する可能性があります。そのため、無尽講に参加する前に、運営者の信頼性を確認することが重要です。

  1. 情報収集とリスク管理

無尽講に参加する際は、情報収集とリスク管理が重要です。無尽講のルールや運営者の詳細、参加者の信用状況などを確認し、リスクを最小限に抑えるよう努めましょう。また、無尽講に関する口コミや評判を調べることも、参加にあたっての判断材料になります。これらの情報を十分に収集し、リスク管理を徹底することで、無尽講を安全に利用することが可能です。

無尽講には、様々な注意点とリスクが伴いますが、情報収集やリスク管理を行い、適切な無尽講に参加することで、助け合いや資金繰りのサポートに活用することができます。無尽講の特性を理解し、適切な選択を行うことが重要です。

無尽講 は危険!?ねずみ講と同じなの?

無尽講(むじんこう)とねずみ講(ねずみこう)は、両方とも出資者が集まって資金を集めるスキームですが、その目的や運営方法に違いがあります。

無尽講は、主に地域コミュニティ内で信用関係に基づいて行われる貯蓄・融資システムです。無尽講では、参加者が定期的に一定額を出資し、出資金は順番に参加者に回っていくことで、融資や資金調達が可能になります。無尽講は、古くから日本をはじめとした東アジア諸国で実践されている制度で、信頼関係が重要な役割を果たしています。

一方、ねずみ講は、出資者が次々と新たな出資者を勧誘し、その収益を元の出資者に還元することで利益を得るシステムです。ねずみ講は、新規参加者からの出資金をもとに利益を分配するため、最初の出資者ほど大きな利益を得られる仕組みです。しかし、参加者が増え続けなければ収益が維持できないため、持続不可能な構造を持っています。

無尽講は、信用関係に基づいて資金調達・融資を行う合法的で持続可能なシステムです。一方、ねずみ講は、新規参加者の出資金に依存し、持続不可能で違法・規制されているシステムです。また、ねずみ講は参加者のリスクが高く、後から参加した人が損失を被る可能性があります。

ねずみ講との違い

項目無尽講ねずみ講
目的資金調達・融資高額な利益を獲得
基本構造地域コミュニティ内で信用関係に基づく新規参加者の出資金に依存する
合法性合法的違法・規制されている
持続性持続可能持続不可能
参加者の利益資金調達・融資が可能最初の出資者ほど大きな利益が得られる
リスク信頼関係が重要であるため限定的後から参加した人が損失を被る可能性あり

無尽講は信頼関係に基づくコミュニティ内の資金調達・融資のためのシステムであり、合法的なものです。一方、ねずみ講は新規参加者の出資金に依存し、持続不可能な構造を持っているため、多くの国で違法とされています。また、ねずみ講は、後から参加した人が損失を被るリスクが高いという点でも、無尽講とは大きく異なります。

助け合えるからこそ、金融リテラシー向上の妨げになっている無尽講

無尽講は、長い歴史を持ち、日本の地域社会で根強い支持を受けてきた金融活動です。このシステムは、その起源から相互扶助の精神に基づいて構築され、多くの地域コミュニティで経済的な支えとなっています。しかし、無尽講に対する評価は一様ではなく、その存続と機能については賛否両論が存在します。

積極的に評価する声は、無尽講を通じた相互扶助が地域社会における絆を強化し、経済的な自立を支援する手段であるとしています。これらの意見は、無尽講が人々を結びつけ、共通の目的のために資金を集める古典的な方法としての価値を強調します。

一方で、批判的な立場からは、金融制度が発展し、より洗練された金融サービスが普及する現代において、無尽講が時代遅れの存在であり、規制すべきであるとの意見も見受けられます。

*並松信久「近代日本の無尽講と相互扶助」『京都産業大学日本文化研究所紀要』第27巻、京都産業大学日本文化研究所、20022-03、260-298頁。

特に、無尽講が高利貸資本のような機能を担っていると批判されることがあります。さらに深刻な指摘として、無尽講の活動が金融リテラシーの低下を招いているという問題があります。

この点に関して、2016年6月に日本銀行によって発表された金融リテラシーのランキングが注目されています。

*「金融リテラシー」最下位の山梨 理由は「無尽」の影響?【東日本編】

このランキングで、無尽講が活発な山梨県が最下位に位置づけられたことは、多くの議論を呼びました。ランキングの分析では、「金融知識がなくても仲間内の互助でやっていけている」という現象と、「無尽頼みで金融知識が低いだけに、金融機関との接点が少ない中でトラブルになりやすい」という問題が指摘されました。これらは、無尽講が金融リテラシー向上の妨げになっていることを示唆するものです。

このように、無尽講に対する見解は複雑で、その役割と影響には多面性があります。相互扶助の伝統を守りつつ、金融リテラシーの向上という現代社会の要請をどのように満たしていくかは、私たちが解決すべき重要な課題と言えるでしょう。無尽講の未来は、これらの課題に対する私たちの取り組み方に大きく依存しています。

「業務」としての運営が許されない無尽業

無尽講は、日本の地域社会に根ざした、長い歴史を持つ金融活動の一つです。この伝統的なシステムは、地域の人々が互いに助け合い、資金を融通し合うための手段として機能してきました。しかし、現代においては、この無尽講を「業務」として行うことは、許可が得れない為ほぼ不可能となっています。

かつては、このような活動を通じて、地域コミュニティーの結束を強め、また経済的な支援を提供することが一般的でした。しかし、今日では無尽講を事業として運営し、利益を出し、人を雇うことは、法的な許可が必要となり、その許可を得ることが極めて困難です。

この変化の背景には、無尽講の運営を巡る過去の問題や、金融活動に対する厳しい規制の存在があります。その結果、業として無尽講を行うことは、実質的に不可能となりました。これは、地域の伝統と経済活動のバランスを取る上での大きな課題となっています。

もちろん、個人間で、地域の人々同士が自主的に無尽講を行うこと自体には問題はありません。この伝統は、依然として多くの地域で価値を持ち、人々の絆を深める重要な役割を果たしています。しかし、それを事業化し、より広い範囲で経済的な利益を追求しようとすると、現行の法律に阻まれるのが現状です。

このように、無尽講の業としての運営には多くの障壁があり、これは現代社会における金融活動の規制と、地域社会の伝統との間の緊張関係を示しています。これから先、このバランスをどのように取り、地域社会のニーズに応えていくかは、私たちが共に考え、解決していかなければならない課題の一つです。

地域に根差し、歴史の深い無尽講ですが、現代では業務として無尽業を行うことができません。
無尽講を地域の人同士で行うことには問題はありませんが「業として行う」事業や仕事として行うことはほぼできなくなってしまいました。
それは、許可を得ることができないからです。

無尽講を行うことを生業として、利益を出して、それで人を雇ったりするのはほぼ不可能と言っていいでしょう。理由は業務として行う場合の許可が非常に厳しいものになったからです。

無尽業法の制定による業務としての運営への制限

伝統的な金融活動が、事業として展開されることには、現代では大きな制約があります。具体的には、無尽講を事業や仕事として運営し、利益を生み出すことは、許可を得ることへのハードルが高いために、ほぼ不可能となってしまっています。

この状況は、1915年(大正4年)に制定された無尽業法に遡ります。この法律の施行により、無認可での営業を行っていた無尽業者は、合法的に業務を継続することができなくなりました。1915年10月時点で2,363社もの無尽業者が存在していましたが、免許申請を行ったのはわずか200余り。そして、翌1916年の終わりに免許を取得できた業者は136社に過ぎませんでした。このように、無尽業法の制定は、無尽業者に対する厳しいフィルターとなり、業者数を大幅に減少させました。

この法制化は、無尽講の業務化に対する明確な制限を示すものであり、それ以降、無尽講を生業として利益を出し、人を雇うことは困難な状況が続いています。無尽講が地域の人々同士で行う伝統的な金融活動としての側面には変わりはありませんが、事業としての運営は、許可を得られないという壁に阻まれているのが現状です。

この法的背景と歴史的経緯を踏まえると、無尽講の業としての展開は、法的な許可を得ることの難しさにより、ほぼ不可能な状態にあると理解することができます。地域コミュニティー内での相互扶助の精神を保ちながらも、法の枠組み内で活動を続けることの難しさが、無尽講の現代における大きな課題となっています。

*無尽会社の一つの基盤としての「無尽講の心性」 ―私人間無尽が提供した意識されざる「営業支援」と昭和戦前・戦時期における同「心性」の衰微―

無尽業の法令

無尽業が違法なのではなく、認可を得るハードルが高いので業務として行いにくくなっています。
どのように厳しいのかを確認するために、ここではその法令をまとめてみました。

またこの法令は戦前に公布されたもので、非常に読みにくい文章になっていた為、現代文に訳したものを比較して読めるようにしています。参考程度に自己責任でお読みください。

*昭和六年法律第四十二号 無尽業法

*本記事に掲載されている法律の抜粋や内容は、一般的な情報提供を目的としております。当記事の情報を基に行動する場合は、利用者自身の責任において、該当する法律の条文を直接確認するなど、十分な調査を行った上でご判断ください。

第一章 総則

無尽業に関する基本的なルールや制度を定めています。

原文)第一章 総則

第一条

本法ニ於テ無尽ト称スルハ一定ノ口数ト給付金額トヲ定メ定期ニ掛金ヲ払込マシメ一口毎ニ抽籤、入札其ノ他類似ノ方法ニ依リ掛金者ニ対シ金銭以外ノ財産ノ給付ヲ為スヲ謂フ無尽類似ノ方法ニ依リ金銭以外ノ財産ノ給付ヲ為スモノ亦同ジ但シ賭博又ハ富籤ニ類似スルモノハ此ノ限ニ在ラズ

第二条 無尽業ハ内閣総理大臣ノ免許ヲ受クルニ非ザレバ之ヲ営ムコトヲ得ズ

 営業トシテ無尽ノ管理ヲ為スハ之ヲ無尽業ト看做ス
 第一項ノ免許ヲ受ケントスル者ハ申請書ニ定款(定款ガ電磁的記録(電子的方式、磁気的方式其ノ他人ノ知覚ヲ以テ認識スルコト能ハザル方式ニ依リ作ラルル記録ニシテ電子計算機ニ依ル情報処理ノ用ニ供セラルルモノヲ謂フ以下同ジ)ヲ以テ作成セラレタルトキハ電磁的記録(内閣府令ニ定ムルモノニ限ル第四十一条ニ於テ同ジ)又ハ其ノ電磁的記録ニ記録セラレタル事項ヲ記載シタル書面)、事業方法ヲ記載シタル書面及無尽契約約款ヲ添付シ之ヲ内閣総理大臣ニ提出スベシ

第三条 無尽業ハ資本金ノ額五千万円以上ノ株式会社ニシテ取締役会ヲ置クモノニ非ザレバ之ヲ営ムコトヲ得ズ

第四条 無尽会社ハ其ノ商号中ニ無尽ナル文字及給付ヲ為ス主タル財産ノ種類ヲ示スベキ文字ヲ用フベシ

 無尽会社ニ非ザルモノハ其ノ名称又ハ商号中ニ無尽ヲ業トスル者タルコトヲ示スベキ文字ヲ用フルコトヲ得ズ

第五条 無尽会社ハ他ノ業務ヲ営ムコトヲ得ズ

第六条 無尽会社ノ営業区域ハ道府県ノ区域内ニ於テ之ヲ定ムベシ但シ特別ノ事情アルトキハ此ノ限ニ在ラズ

 前項ノ営業区域ハ定款中ニ之ヲ記載又ハ記録スベシ

第七条 無尽会社ハ左ノ場合ニ於テハ内閣総理大臣ノ認可ヲ受クベシ

 定款ヲ変更セントスルトキ

 事業方法又ハ無尽契約約款ヲ変更セントスルトキ

 出張所又ハ代理店ヲ設置セントスルトキ

 本店其ノ他ノ営業所ノ位置ヲ変更セントスルトキ

第八条 無尽会社ハ代理店主ヲシテ其ノ代理事務ニ関シ代理店ノ出張所其ノ他ノ従タル営業所又ハ復代理店ヲ設ケシムルコトヲ得ズ

 無尽会社ノ代理店主ハ其ノ代理事務ニ関シ代理店ノ出張所其ノ他ノ従タル営業所又ハ復代理店ヲ設クルコトヲ得ズ

第九条 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第七条の二第二項乃至第四項及第十二条の四ノ規定ハ無尽会社ニ之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テハ同法第七条の二第三項中「銀行法、この法律」トアルハ「無尽業法、この法律」トス

現代語訳) 第一章 総則

第一条

この法律で「無尽」とは、特定の回数と支払額を決め、定期的に掛け金を支払い、各回ごとに抽選、入札などの方法で、掛け金を払った人に金銭以外の財産を提供する方法を指します。この方法は賭け事や富くじに似ている場合を除いて、無尽やそれに似た方法による金銭以外の財産の提供も含まれます。

第二条
  1. 無尽業を営むには、内閣総理大臣の許可が必要です。
  2. 無尽の管理を業として行うことも、無尽業とみなされます。
  3. 許可を受けようとする者は、申請書に定款、事業方法、無尽契約の約款を添付して、内閣総理大臣に提出しなければなりません。
第三条

無尽業を営むには、資本金が5,000万円以上の株式会社であり、取締役会を置くことが必要です。

第四条
  1. 無尽会社は、商号に「無尽」と、主な提供財産の種類を示す文字を用いなければなりません。
  2. 無尽業以外の者は、その名称や商号に「無尽」を業とすることを示す文字を使ってはいけません。
第五条

無尽会社は、他の業務を営むことはできません。

第六条
  1. 無尽会社の営業区域は、道府県内に限定されますが、特別な事情がある場合はこの限りではありません。
  2. 営業区域は、定款に記載または記録しなければなりません。
第七条

無尽会社は、以下の場合には内閣総理大臣の承認を受けなければなりません。

  1. 定款を変更する場合
  2. 事業方法または無尽契約の約款を変更する場合
  3. 出張所または代理店を設置する場合
  4. 本店やその他の営業所の位置を変更する場合
第八条
  1. 無尽会社は、代理店主がその代理事務に関連して、代理店の出張所やその他の営業所、さらには代理店を設置することはできません。
  2. 無尽会社の代理店主も、その代理事務に関連して、代理店の出張所やその他の営業所、さらには代理店を設置することはできません。
第九条

銀行法の特定の条項は、無尽会社に対しても適用されます。この場合、「銀行法、この法律」とある部分は「無尽業法、この法律」と読み替えます。

第二章 業務

無尽会社の資金運用、債務完済の責任、無尽契約の締結方法、そして業務運営に関する基本ルールを定めています。現代の言葉で表現することで、無尽業における責任と運営の枠組みが明確になります。

原文)第二章 業務

第十条 無尽会社ハ次ノ方法ニ依ルノ外其ノ営業上ノ資金ヲ運用スルコトヲ得ズ

 銀行ヘノ預ケ金

 信託業務ヲ営ム金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項ノ認可ヲ受ケタル金融機関ヲ謂フ以下同ジ)ヘ内閣府令ノ定ムル所ニ依リ為ス金銭信託

 金銭以外ノ財産ノ給付ヲ為ス無尽ノ給付ノ為必要ナル財産ノ取得等ニシテ内閣府令ヲ以テ定ムルモノ

第十一条 無尽会社ガ会社財産ヲ以テ其ノ債務ヲ完済スルコト能ハザルニ至リタルトキハ無尽契約ニ基ク会社ノ債務ニ付各取締役(指名委員会等設置会社ニ在リテハ取締役及執行役)ハ連帯シテ其ノ弁償ノ責ニ任ズ

 前項ノ責任ハ取締役(指名委員会等設置会社ニ在リテハ取締役及執行役)ノ退任登記前ノ債務ニ付退任登記後二年間仍存続ス

第十二条 無尽会社並ニ其ノ取締役、執行役、会計参与、監査役、使用人及代理店主ハ何人ノ名義ヲ以テスルヲ問ハズ自己ノ計算ニ於テ其ノ会社又ハ其ノ会社ニ第二十一条ノ六ノ規定ニ依ル管理ヲ委託シタル無尽会社ト無尽契約ヲ為スコトヲ得ズ

第十二条ノ二 無尽契約ヲ為スニハ書面ヲ用フルコトヲ要ス無尽契約書ニハ無尽契約約款ノ全文ヲ記載シ又ハ之ヲ記載シタル書面ヲ添付スベシ但シ無尽契約約款中当該無尽ニ関セザル事項ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ

 無尽会社ハ前項ノ規定ニ依ル書面ノ交付ニ代ヘテ次項ノ規定ニ依リ当該掛金者ノ承諾ヲ得テ当該書面ニ記載スベキ事項ヲ電磁的方法(第十七条第五項ニ規定スル電磁的方法ヲ謂フ以下本条ニ於テ同ジ)ニ依リ提供スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ当該無尽会社ハ当該書面ヲ交付シタルモノト看做ス

 無尽会社ハ前項ノ規定ニ依リ書面ニ記載スベキ事項ヲ提供セントスルトキハ予メ当該掛金者ニ対シ内閣府令ニ定メル処ニ依リ書面又ハ電磁的方法ニ依ル承諾ヲ得ルコトヲ要ス

 前項ノ規定ニ依ル承諾ヲ得タル無尽会社ハ当該掛金者カラ書面又ハ電磁的方法ニ依リ電磁的方法ニ依ル提供ヲ受ケザル旨ノ申出ガ為サレタルトキハ当該掛金者ニ対シ書面ニ記載スベキ事項ノ提供ヲ電磁的方法ニ依リ為スコトヲ得ズ但シ当該掛金者ガ再ビ同項ノ規定ニ依ル承諾ヲ為シタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ

第十三条 無尽会社ハ無尽ノ欠口又ハ掛金ノ払込ヲ為サザル者アル場合ト雖モ第一回ノ抽籤、入札其ノ他類似ノ方法ヲ行ヒタル後ハ掛金者ノ不利益ニ給付ヲ変更シ又ハ掛金額ヲ増加スルコトヲ得ズ

第十三条ノ二 銀行法第十二条の三ノ規定ハ無尽会社ニ之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テハ同条第三項第二号及第三号中「第五十二条の六十二第一項」トアルハ「無尽業法第三十五条の二第一項」トスルノ外必要ナル技術的読替ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム

現代語訳)第二章 業務

第十条

無尽会社は、以下の方法以外でその営業に必要な資金を運用してはいけません。

  1. 銀行に預ける。
  2. 信託業務を行う金融機関への金銭信託(内閣府令で定める範囲内)。
  3. 無尽の給付のために必要な財産の取得など、内閣府令で定める活動。

第十一条

  1. 無尽会社が会社の財産だけで債務を完済できなくなった場合、取締役は連帯して弁済の責任を負います。
  2. この責任は、取締役が退任した後も2年間続きます。

第十二条

無尽会社とその取締役、執行役員、会計参与、監査役、従業員、代理店主は、無尽契約を自己の計算で結ぶことはできません。

第十二条の二

  1. 無尽契約を結ぶ際には書面を使用しなければならず、無尽契約書には無尽契約約款の全文を記載するか、それを記載した書面を添付しなければなりません。
  2. 書面の交付の代わりに、電磁的方法による同意を得て、記載すべき事項を電磁的方法で提供することができます。
  3. 書面に記載すべき事項を提供する場合、事前に掛金者の同意を得る必要があります。
  4. 掛金者が電磁的方法による提供を受けない旨を申し出た場合は、電磁的方法での提供はできませんが、掛金者が再度同意した場合はこの限りではありません。

第十三条

無尽の欠口があるか、掛金の支払いを行わない者がいても、最初の抽選や入札を行った後は、掛金者に不利益をもたらす給付の変更や掛金額の増加を行ってはいけません。

第十三条の二

銀行法の特定の規定は無尽会社に準用され、この場合、必要な技術的読替えは政令で定めます。

この章は無尽会社の資金運用、債務完済の責任、無尽契約の締結方法、そして業務運営に関する基本ルールを定めています。現代の言葉で表現することで、無尽業における責任と運営の枠組みが明確になります。

第三章 経理等

無尽会社における経理処理、報告義務、貸借対照表の公告、監査に関する要件など、経営の透明性と信頼性を高めるための規定を設けています。

原文)第三章 経理等

(資本準備金及び利益準備金の額)

第十四条 無尽会社は、剰余金の配当をする場合には、会社法(平成十七年法律第八十六号)第四百四十五条第四項(資本金の額及び準備金の額)の規定にかかわらず、内閣府令で定めるところにより、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に五分の一を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金として計上しなければならない。

(事業年度)

第十五条 無尽会社の事業年度は、四月一日から翌年三月三十一日までとする。

(業務報告書)

第十六条 無尽会社は、事業年度ごとに、業務報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。

(貸借対照表の公告)

第十七条 無尽会社は、事業年度ごとに、内閣府令で定めるところにより、貸借対照表を作成しなければならない。

 前項の貸借対照表は、電磁的記録をもって作成することができる。

 無尽会社は、内閣府令で定めるところにより、その事業年度経過後三月以内に、貸借対照表を公告しなければならない。ただし、やむを得ない理由により当該三月以内に貸借対照表の公告をすることができない場合には、内閣総理大臣の承認を受けて、当該公告を延期することができる。

 前項の規定にかかわらず、その公告方法(会社法第二条第三十三号(定義)に規定する公告方法をいう。以下同じ。)が第三十五条の二の五第一号に掲げる方法である無尽会社は、内閣府令で定めるところにより、第一項の貸借対照表の要旨を公告することで足りる。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。

 前項に規定する無尽会社は、内閣府令で定めるところにより、その事業年度経過後三月以内に、貸借対照表の内容である情報を、五年間継続して電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって内閣府令で定めるものをいう。)により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとることができる。この場合においては、第三項の規定による公告をしたものとみなす。

 無尽会社に対する会社法第九百四十一条(電子公告調査)の適用については、同条中「第四百四十条第一項」とあるのは、「第四百四十条第一項及び無尽業法第十七条第三項」とする。

 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二十四条第一項(有価証券報告書の提出)の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない無尽会社については、前各項の規定は、適用しない。

(監査書の備置き)

第十八条 無尽会社の監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員、指名委員会等設置会社にあっては監査委員)は、無尽会社の業務及び財産の状況に関する調査の結果を記載した監査書を事業年度ごとに作成し、本店に備え置かなければならない。

(附属明細書の記載事項)

第十八条の二 無尽会社が会社法第四百三十五条第二項(計算書類等の作成及び保存)の規定により作成する附属明細書の記載事項は、内閣府令で定める。

(取締役等の兼職の制限)

第十九条 無尽会社の常務に従事する取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役)又は支配人が他の会社の常務に従事しようとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。

(説明書の交付請求)

第二十条 無尽会社の掛金者は、無尽会社に対し、当該掛金者の加入する無尽の総掛金者の五分の一以上の同意を得て、当該掛金者の加入する無尽に関し、内閣府令で定める事項について、説明書の交付を求めることができる。

第三章 経理等

資本準備金及び利益準備金の額

第十四条
無尽会社は、利益を分配する際に、会社法の規定に関係なく、分配によって減少する利益の額の五分の一相当額を資本準備金または利益準備金として計上しなければなりません。この割合は内閣府令で定められます。

事業年度

第十五条
無尽会社の事業年度は、4月1日から翌年3月31日までです。

業務報告書

第十六条
無尽会社は、毎事業年度終了後、業務報告書を作成し、内閣総理大臣に提出する義務があります。

貸借対照表の公告

第十七条

  1. 無尽会社は毎事業年度、内閣府令で定められた方法により貸借対照表を作成しなければなりません。
  2. この貸借対照表は電磁的記録によって作成することが可能です。
  3. 無尽会社は、事業年度終了後3か月以内に貸借対照表を公表しなければならず、特別な理由で遅れる場合は内閣総理大臣の承認を受けて延期できます。
  4. 特定の公告方法を使用する無尽会社は、貸借対照表の要旨を公告するだけで良く、必要に応じて延期が可能です。
  5. そのような無尽会社は、事業年度終了後3か月以内に貸借対照表の内容を5年間電磁的方法で提供できる状態にしなければならず、これを公告したとみなします。
  6. 会社法の電子公告調査の適用についても、この条文が関連します。
  7. 有価証券報告書を提出しなければならない無尽会社には、前述の規定が適用されません。

監査書の備置き

第十八条
無尽会社の監査役は、業務および財産の状況に関する調査結果を記載した監査書を毎事業年度ごとに作成し、本店に備え置かなければなりません。

附属明細書の記載事項

第十八条の二
無尽会社が会社法の規定によって作成する附属明細書の記載事項は、内閣府令で定められます。

取締役等の兼職の制限

第十九条
無尽会社の常務を務める取締役や支配人が他の会社で常務を務めようとする場合、内閣総理大臣の認可が必要です。

説明書の交付請求

第二十条
無尽会社の掛金者は、加入する無尽の総掛金者の五分の一以上の同意を得て、加入する無尽に関する事項について説明書の交付を無尽会社に求めることができます。これに必要な事項は内閣府令で定められます。

第四章 合併、会社分割、または事業の譲渡または譲受

無尽会社が合併、会社分割、事業の譲渡または譲受を行う際の手続きや、必要な認可、特例、公告に関する規定を定めています。これらは、関係者の権利保護と透明性の確保を目的としています。

第四章 合併、会社分割又ハ事業ノ譲渡若ハ譲受

第二十一条 無尽会社ヲ当事者トスル合併、会社分割又ハ事業ノ全部若ハ一部ノ譲渡若ハ譲受ハ内閣総理大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ

第二十一条ノ二 無尽会社ガ合併ノ決議ヲ為シタル場合ニ於テ会社法第七百八十九条第二項、第七百九十九条第二項又ハ第八百十条第二項ノ規定ニ依リテ為スベキ催告ハ掛金者ニ対シテハ之ヲ為スコトヲ要セズ

第二十一条ノ三 無尽会社ガ会社分割ノ決議ヲ為シタル場合ニ於テ会社法第七百八十九条第二項、第七百九十九条第二項又ハ第八百十条第二項ノ規定ニ依リテ為スベキ催告ハ掛金者ニ対シテハ之ヲ為スコトヲ要セズ

 会社法第七百五十九条第二項及第三項、第七百六十一条第二項及第三項、第七百六十四条第二項及第三項並ニ第七百六十六条第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ催告ヲ為スコトヲ要セザル掛金者ニハ之ヲ適用セズ

第二十一条ノ四 無尽会社ガ其ノ事業ノ全部若ハ一部ノ譲渡又ハ他ノ無尽会社ノ事業ノ全部若ハ一部ノ譲受ノ決議又ハ決定ヲ為シタルトキハ其ノ決議又ハ決定ノ日ヨリ二週間内ニ決議又ハ決定ノ要旨及其ノ債権者ニシテ事業ノ全部又ハ一部ノ譲渡又ハ譲受ニ異議アラバ一定ノ期間内ニ之ヲ述ブベキ旨ヲ官報ニ公告シ且掛金者以外ノ知レタル債権者ニハ各別ニ之ヲ催告スルコトヲ要ス但シ其ノ期間ハ一月ヲ下ルコトヲ得ズ

 前項ノ規定ニ拘ラズ無尽会社ガ同項ノ規定ニ依ル公告ヲ官報ノ外第三十五条の二の五ノ規定ニ依ル定款ノ定メニ従ヒ為ストキハ同項ノ各別ノ催告ハ之ヲ為スコトヲ要セズ

 債権者ガ第一項ノ期間内ニ異議ヲ述ベザリシトキハ事業ノ全部又ハ一部ノ譲渡又ハ譲受ヲ承認シタルモノト看做ス

 第一項ノ期間内ニ債権者ガ異議ヲ述ベタルトキハ事業ノ全部又ハ一部ノ譲渡又ハ譲受ヲ為サントスル無尽会社ハ弁済ヲ為シ若ハ相当ノ担保ヲ供シ又ハ其ノ債権者ニ弁済ヲ受ケシムルコトヲ目的トシテ信託会社若ハ信託業務ヲ営ム金融機関ニ相当ノ財産ヲ信託スルコトヲ要ス但シ事業ノ全部又ハ一部ノ譲渡又ハ譲受ヲ為スモ其ノ債権者ヲ害スルノ虞ナキトキハ此ノ限ニ在ラズ

第二十一条ノ五 無尽会社ガ会社分割ニ因リ其ノ事業ノ全部若ハ一部ヲ承継セシメ又ハ其ノ事業ノ全部若ハ一部ノ譲渡ヲ為シタルトキハ遅滞無ク其ノ旨ヲ公告スルコトヲ要ス

 前項ノ公告ガ第三十五条の二の五第一号ニ掲グル方法ニ依リ為サレタルトキハ会社分割ニ因リ事業ノ全部若ハ一部ヲ承継セシメ又ハ事業ノ全部若ハ一部ノ譲渡ヲ為シタル無尽会社ノ掛金者ニ対シ民法第四百六十七条ノ規定ニ依ル確定日付アル証書ヲ以テスル通知アリタルモノト看做ス此ノ場合ニ於テハ其ノ公告ノ日付ヲ以テ確定日付トス

第四章 合併、会社分割、または事業の譲渡または譲受

合併、会社分割、事業の譲渡または譲受の認可

第二十一条
無尽会社が関わる合併、会社分割、事業の全部または一部の譲渡または譲受は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を有しません。

合併に関する特例

第二十一条の二
無尽会社が合併を決議した場合、会社法の規定に基づく特定の催告は、掛金者に対して行う必要はありません。

会社分割に関する特例

第二十一条の三

  1. 無尽会社が会社分割を決議した場合、会社法の規定に基づく特定の催告は、掛金者に対して行う必要はありません。
  2. 会社法の特定の条項は、催告を行う必要がない掛金者には適用されません。

事業の譲渡または譲受の決議

第二十一条の四

  1. 無尽会社が事業の全部または一部の譲渡または他の無尽会社への事業の一部または全部の譲受を決議または決定した場合、決議または決定の日から2週間以内に、その要旨と、事業の一部または全部の譲渡または譲受に異議がある債権者に一定期間内にその旨を述べるべきことを官報に公告し、掛金者以外の知られた債権者には個別に催告する必要があります。この期間は1か月未満であってはなりません。
  2. 官報以外の方法で公告を行う場合、個別の催告は不要です。
  3. 債権者が異議を述べなかった場合、事業の一部または全部の譲渡または譲受を承認したものとみなします。
  4. 債権者が異議を述べた場合、無尽会社は弁済を行うか、適切な保証を提供するか、信託会社や信託業務を行う金融機関に適切な財産を信託する必要があります。ただし、事業の一部または全部の譲渡または譲受が債権者に害を与えない場合は、この限りではありません。

会社分割、事業の承継または譲渡の公告

第二十一条の五

  1. 無尽会社が会社分割により事業の全部または一部を承継したり、事業の一部または全部を譲渡した場合、遅滞なくその旨を公告する必要があります。
  2. 公告が特定の方法によって行われた場合、その無尽会社の掛金者に対する民法の規定に基づく確定日付のある証書による通知があったものとみなされます。この場合、公告の日付が確定日付とみなされます。
第五章 業務及び財産の管理の委託

無尽会社が他の無尽会社に業務及び財産の管理を委託する場合の手続き、必要な認可、公告及び登記の義務、法的性質、取引の表示方法、契約解除の手続きについて定めています。これにより、管理委託の透明性と効率性が確保され、関係各方の権利保護が強化されます。

第五章 業務及財産ノ管理ノ委託

第二十一条ノ六 無尽会社ハ契約ヲ以テ他ノ無尽会社ニ其ノ業務及財産ノ管理ヲ委託スルコトヲ得

 前項ノ契約ハ各無尽会社ニ於テ株主総会ノ決議ヲ経ルコトヲ要ス

 前項ノ決議ハ会社法第三百九条第二項ノ規定ニ依ルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ

第二十一条ノ七 前条第一項ノ契約ハ内閣総理大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ

第二十一条ノ八 前条ノ認可アリタルトキハ各無尽会社ハ遅滞ナク其ノ旨及契約ノ要旨ヲ公告シ且管理ヲ委託シタル無尽会社ニ在リテハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨並ニ受託無尽会社ノ商号及本店ノ所在地ヲ登記スルコトヲ要ス

 前項ノ登記ハ委託無尽会社ノ本店ノ所在地ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス

第二十一条ノ九 本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外委託無尽会社ト受託無尽会社トノ間ノ関係ハ委任ニ関スル規定ニ従フ

第二十一条ノ十 受託無尽会社ガ委託無尽会社ノ為ニ無尽契約其ノ他ノ取引ヲ為スニハ委託無尽会社ノ為ニスルコトヲ表示スルコトヲ要ス

 前項ノ表示ヲ為サズシテ為シタル無尽契約其ノ他ノ取引ハ之ヲ自己ノ為ニ為シタルモノト看做ス

 会社法第十一条第一項ノ規定ハ受託無尽会社ニ之ヲ準用ス

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第七十八条ノ規定ハ管理ノ委託アリタル場合ニ之ヲ準用ス

第二十一条ノ十一 管理契約ノ解除ハ株主総会ノ決議ヲ経ルコトヲ要ス

 前項ノ決議ハ会社法第三百九条第二項ノ規定ニ依ルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ

 第二十一条ノ七ノ規定ハ第一項ノ解除ニ之ヲ準用ス

第二十一条ノ十二 管理契約ノ解除又ハ終了アリタルトキハ各無尽会社ハ遅滞ナク其ノ旨ヲ公告スルコトヲ要ス

第五章 業務及び財産の管理の委託

業務及び財産管理の委託

第二十一条の六
無尽会社は、契約を通じて他の無尽会社に自社の業務及び財産の管理を委託することができます。

  1. この契約は、各無尽会社が株主総会の決議を経る必要があります。
  2. この決議は、会社法に基づく特定の要件を満たさなければ行うことができません。

委託契約の認可

第二十一条の七
前項の契約は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、効力を有しません。

委託契約の公告及び登記

第二十一条の八

  1. 認可を受けた場合、各無尽会社はその旨及び契約の要旨を遅滞なく公告し、管理を委託した無尽会社は、所定の手続きに従い、受託無尽会社の商号及び本店の所在地を登記しなければなりません。
  2. この登記は、委託無尽会社の本店の所在地で行う必要があります。

委託契約の法的性質

第二十一条の九
特別な規定がある場合を除き、委託無尽会社と受託無尽会社との関係は、委任に関する規定に従います。

取引の表示

第二十一条の十

  1. 受託無尽会社が無尽契約などの取引を委託無尽会社のために行う場合、それが委託無尽会社のためであることを表示する必要があります。
  2. 表示をせずに行われた無尽契約などの取引は、受託無尽会社自身のために行われたものとみなされます。
  3. 会社法における特定の規定は、受託無尽会社に適用されます。
  4. 管理の委託がある場合、特定の法律における規定が適用されます。

管理契約の解除

第二十一条の十一

  1. 管理契約の解除は、株主総会の決議を経る必要があります。
  2. この決議は、会社法に基づく特定の要件を満たさなければ行うことができません。
  3. 管理契約の解除には、特定の規定が適用されます。

管理契約の解除または終了の公告

第二十一条の十二
管理契約の解除または終了があった場合、各無尽会社はその旨を遅滞なく公告する必要があります。

第六章 監督

無尽会社の業務及び財産に関する監督権限と、法令違反や公益を害する行為に対する内閣総理大臣の命令発出権、業務停止や営業免許取り消しといった措置の根拠について定めています。これにより、無尽会社の適正な運営を確保し、利害関係者の保護を図ることが目的とされています。

第六章 監督

第二十二条 内閣総理大臣ハ何時ニテモ無尽会社ヲシテ其ノ業務ニ関スル報告ヲ為サシメ又ハ監査書其ノ他ノ書類帳簿ヲ提出セシムルコトヲ得

第二十三条 内閣総理大臣ハ何時ニテモ無尽会社ノ業務及財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得

第二十四条 内閣総理大臣ハ無尽会社ノ業務又ハ財産ノ状況ニ依リ必要ト認ムルトキハ事業方法若ハ無尽契約約款ノ変更、業務ノ停止又ハ財産ノ供託ヲ命ジ其ノ他必要ナル命令ヲ為スコトヲ得

第二十五条 無尽会社ガ法令、定款若ハ内閣総理大臣ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スベキ行為ヲ為シタルトキハ内閣総理大臣ハ業務ノ停止若ハ取締役、執行役、会計参与若ハ監査役ノ改任ヲ命ジ又ハ営業ノ免許ヲ取消スコトヲ得

第二十六条 内閣総理大臣ハ業務ノ停止ヲ命ゼラレタル無尽会社ニ対シ其ノ整理ノ状況ニ依リ必要ト認ムルトキハ営業ノ免許ヲ取消スコトヲ得

第六章 監督

監査と報告の義務

第二十二条
内閣総理大臣は、いつでも無尽会社に対して、その業務に関する報告を求めたり、監査報告書やその他の書類や帳簿の提出を命じることができます。

業務及び財産の検査

第二十三条
内閣総理大臣は、いつでも無尽会社の業務及び財産の状況を検査することができます。

命令と指示の発出

第二十四条
内閣総理大臣は、無尽会社の業務や財産の状況に基づき、事業方法や無尽契約約款の変更、業務の停止、財産の供託を命じるなど、必要な命令を発出することができます。

法令違反時の措置

第二十五条
無尽会社が法令、定款、または内閣総理大臣の命令に違反したり、公益を害する行為をした場合、内閣総理大臣は業務の停止、取締役、執行役、会計参与、監査役の改任を命じるか、または営業の免許を取り消すことができます。

営業免許の取り消し

第二十六条
内閣総理大臣は、業務の停止を命じられた無尽会社に対して、その整理の状況に基づき必要と認められる場合、営業の免許を取り消すことができます。

第七章 廃業及び解散

無尽業の廃業や無尽会社の解散に関する手続き、内閣総理大臣の認可の必要性、目的変更時の財産の供託や必要な命令の発出可能性、及び免許の取消しに伴う解散について定めています。これらの規定により、無尽会社の適切な廃業や解散が行われ、掛金者などの利害関係者の保護が図られます。

第七章 廃業及解散

第二十七条 無尽業ノ廃止又ハ無尽会社ノ解散ノ決議ハ内閣総理大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ

第二十八条 無尽会社ガ其ノ目的ヲ変更シ他ノ業務ヲ営ム会社トシテ存続スル場合ニ於テハ無尽会社ニ関スル事務ヲ管理スル内閣総理大臣ハ其ノ会社ガ掛金者ニ対スル債務ヲ完済スルニ至ル迄財産ノ供託ヲ命ジ其ノ他必要ナル命令ヲ為スコトヲ得合併又ハ会社分割ニ因リ無尽会社ニ非ザル会社ガ無尽会社ノ掛金者ニ対スル債務ヲ承継シタル場合亦同ジ

 第二十二条及第二十三条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス

第二十九条 無尽会社ガ第二条第一項ノ内閣総理大臣ノ免許ヲ第二十五条又ハ第二十六条ノ規定ニ依リ取消サレタルトキハ之ニ因リテ解散ス

第七章 廃業及び解散

廃業及び解散の認可

第二十七条
無尽業の廃止または無尽会社の解散の決議は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、効力を有しません。

目的変更と財産の供託

第二十八条

  1. 無尽会社がその目的を変更し、他の業務を営む会社として存続する場合、または合併または会社分割により無尽会社でない会社が無尽会社の掛金者に対する債務を承継した場合、内閣総理大臣は、その会社が掛金者に対する債務を完済するまで財産の供託を命じることができます。また、必要な命令を発することができます。
  2. 第二十二条及び第二十三条の規定は、前項の場合に準用されます。

免許取消しによる解散

第二十九条
無尽会社が第二条第一項の内閣総理大臣の免許を第二十五条または第二十六条の規定により取り消された場合、その結果として解散します。

第八章 清算

無尽会社の清算に関する手続き、清算人の選任と解任、清算の裁判所監督、特別検査人の選任と報酬、清算人の義務、および内閣総理大臣の関与について規定しています。これにより、清算過程の公正性と透明性が保障されます。

第八章 清算

(清算人の任免等)

第三十条 無尽会社が第二十五条又は第二十六条の規定による免許の取消しにより解散した場合には、裁判所は、利害関係人の申立てにより又は職権で、清算人を選任する。当該清算人の解任についても、同様とする。

 前項の場合を除くほか、裁判所は、利害関係人の申立てにより又は職権で、清算人を解任することができる。

 前項の規定により清算人を解任したときは、裁判所は、清算人を選任することができる。

 次に掲げる者は、清算をする無尽会社(次項並びに次条第三項、第五項、第七項及び第八項において「清算無尽会社」という。)の清算人となることができない。

 心身の故障のため職務を適正に執行することができない者として内閣府令で定める者

 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者

 清算無尽会社の清算人に対する会社法第四百七十八条第八項(清算人の就任)において準用する同法第三百三十一条第一項第三号(取締役の資格等)の規定の適用については、同号中「この法律」とあるのは、「無尽業法、この法律」とする。

第三十一条 無尽会社の清算は、裁判所の監督に属する。

 無尽会社の清算の監督は、無尽会社の本店の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

 裁判所は、清算無尽会社の清算事務及び財産の状況を検査するとともに、当該清算無尽会社に対し、財産の供託を命じ、その他清算の監督に必要な命令をすることができる。この場合においては、当該検査をさせるため、特別検査人を選任することができる。

 会社法第八百七十一条本文(理由の付記)、第八百七十二条(第一号に係る部分に限る。)(即時抗告)、第八百七十五条(非訟事件手続法の規定の適用除外)及び第八百七十六条(最高裁判所規則)の規定は前項前段の規定による命令について、同法第八百七十四条(第二号に係る部分に限る。)(不服申立ての制限)、第八百七十五条及び第八百七十六条の規定は同項後段の規定による特別検査人の選任について、それぞれ準用する。

 裁判所は、第三項後段の規定により特別検査人を選任した場合には、清算無尽会社が当該特別検査人に対して支払う報酬の額を定めることができる。

 会社法第八百七十条第一項(第一号に係る部分に限る。)(陳述の聴取)、第八百七十二条(第四号に係る部分に限る。)(即時抗告)、第八百七十五条(非訟事件手続法の規定の適用除外)及び第八百七十六条(最高裁判所規則)の規定は、前項の報酬の額の決定について準用する。

 清算無尽会社の清算人は、その就任の日から二週間以内に、次に掲げる事項を裁判所に届け出なければならない。

 解散の事由(会社法第四百七十五条第二号又は第三号(清算の開始原因)に掲げる場合に該当することとなった清算無尽会社にあっては、その旨)及びその年月日

 清算人の氏名及び住所

 清算無尽会社の清算人は、会社法第四百九十二条第三項(財産目録等の作成等)の規定により同項に規定する財産目録等について株主総会の承認を受けた場合には、遅滞なく、当該財産目録等(当該財産目録等が電磁的記録をもって作成されている場合にあっては、当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面)を裁判所に提出しなければならない。

(清算手続等における内閣総理大臣の意見等)

第三十二条 裁判所は、無尽会社の清算手続、破産手続、再生手続又は更生手続において、内閣総理大臣に対し、意見を求め、又は検査若しくは調査を依頼することができる。

第三十三条 内閣総理大臣は、前条に規定する手続において、必要があると認めるときは、裁判所に対し、意見を述べることができる。

第八章 清算

清算人の任免等

第三十条

  1. 無尽会社が免許の取消しにより解散した場合、裁判所は、利害関係人の申立てによりまたは職権により、清算人を選任します。この清算人の解任に関しても同様です。
  2. 上記の場合を除き、裁判所は、利害関係人の申立てによりまたは職権により、清算人を解任することができます。
  3. 清算人を解任した場合、裁判所は、新たに清算人を選任することができます。
  4. 清算を行う無尽会社(以下「清算無尽会社」という)の清算人となることができない者は、次に該当する者です。
    • 心身の故障により職務を適正に執行できない者
    • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない者や外国法においてこれと同等とみなされる者
  5. 清算無尽会社の清算人に対する会社法の特定の資格要件が、「無尽業法、この法律」として適用されます。

清算の監督

第三十一条

  1. 無尽会社の清算は、裁判所の監督下にあります。
  2. 清算の監督は、無尽会社の本店所在地を管轄する地方裁判所が行います。
  3. 裁判所は、清算事務及び財産の状況を検査し、財産の供託命令やその他必要な命令を行うことができます。このために、特別検査人を選任することが可能です。
  4. 特定の会社法規定が、清算に関する命令や特別検査人の選任に準用されます。
  5. 裁判所は、特別検査人に対して支払われる報酬の額を定めることができます。
  6. その報酬額の決定に関して、特定の会社法規定が準用されます。
  7. 清算人は、就任から2週間以内に、解散の事由とその日付、清算人の氏名及び住所を裁判所に届け出なければなりません。
  8. 財産目録等を株主総会で承認した場合、その書類を遅滞なく裁判所に提出しなければなりません。

清算手続等における内閣総理大臣の意見等

第三十二条
裁判所は、清算手続、破産手続、再生手続、または更生手続において、内閣総理大臣に意見を求めるか、検査または調査を依頼することができます。

第三十三条
内閣総理大臣は、上記手続において、必要があると認められる場合、裁判所に意見を述べることができます。

第九章 無尽の管理

無尽会社が自ら管理する無尽における掛金の支払いや給付金の支払いに責任を持ち、これに関わる一切の行為を代行する権限について規定しています。これにより、無尽会社は加入者に代わって無尽の管理を効率的に行うことが可能になり、無尽業務の円滑な運営を支援します。

第九章 無尽ノ管理

第三十四条 第二条第二項ニ規定スル無尽ノ管理(次条ニ於テ無尽ノ管理ト称ス)ヲ為ス無尽会社ハ其ノ管理スル無尽ノ掛金ノ払込ナキ場合ニ於テ掛金者ニ代リ掛金ノ払込ヲ為ス責ニ任ズ

第三十五条 無尽ノ管理ヲ為ス無尽会社ハ其ノ管理スル無尽ノ加入者ニ代リ掛金ノ払込及給付金ノ支払ニ関シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス

 掛金ノ払込又ハ給付金ノ支払ニ関スル訴ニ於テハ無尽ノ管理ヲ為ス無尽会社ハ原告又ハ被告ト為ルコトヲ得

第九章 無尽の管理

無尽の管理責任

第三十四条
無尽業を行う無尽会社は、自ら管理する無尽における掛金の未払いがあった場合、掛金者に代わって掛金の支払いを行う責任を負います。

無尽管理における権限

第三十五条

  1. 無尽の管理を行う無尽会社は、自ら管理する無尽の加入者に代わり、掛金の支払い及び給付金の支払いに関するすべての裁判上または裁判外の行為を行う権限を有します。
  2. 掛金の支払いまたは給付金の支払いに関する訴訟において、無尽の管理を行う無尽会社は、原告または被告となることができます。
第十章 指定紛争解決機関

無尽業務に関連する苦情処理や紛争解決を行う機関や団体を内閣総理大臣が指定する基準と手続きについて定めています。指定されるための主な要件には、法人であること、過去の指定取り消しからの一定期間の経過、及び法令違反後の一定期間の経過が含まれます。これにより、無尽業務に関連する苦情や紛争の効率的かつ公正な解決を図ることが目的とされています。

第十章 指定紛争解決機関

(紛争解決等業務を行う者の指定)

第三十五条の二 内閣総理大臣は、次に掲げる要件を備える者を、その申請により、紛争解決等業務(苦情処理手続(無尽業務関連苦情を処理する手続をいう。)及び紛争解決手続(無尽業務関連紛争について訴訟手続によらずに解決を図る手続をいう。第四項において同じ。)に係る業務並びにこれに付随する業務をいう。第三十五条の二の三第一項を除き、以下同じ。)を行う者として、指定することができる。

 法人(人格のない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含み、外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体を除く。第四号ニにおいて同じ。)であること。

 第三十五条の二の三第一項において準用する銀行法第五十二条の八十四第一項の規定によりこの項の規定による指定を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者又は他の法律の規定による指定であって紛争解決等業務に相当する業務に係るものとして政令で定めるものを取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者でないこと。

 この法律若しくは弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者でないこと。

 役員のうちに、次のいずれかに該当する者がないこと。

 心身の故障のため紛争解決等業務に係る職務を適正に執行することができない者として内閣府令で定める者

 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者

 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者

 第三十五条の二の三第一項において準用する銀行法第五十二条の八十四第一項の規定によりこの項の規定による指定を取り消された場合若しくはこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている当該指定に類する行政処分を取り消された場合において、その取消しの日前一月以内にその法人の役員(外国の法令上これと同様に取り扱われている者を含む。ニにおいて同じ。)であった者でその取消しの日から五年を経過しない者又は他の法律の規定による指定であって紛争解決等業務に相当する業務に係るものとして政令で定めるもの若しくは当該他の法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている当該政令で定める指定に類する行政処分を取り消された場合において、その取消しの日前一月以内にその法人の役員であった者でその取消しの日から五年を経過しない者

 この法律若しくは弁護士法又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者

 紛争解決等業務を的確に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すること。

 役員又は職員の構成が紛争解決等業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。

 紛争解決等業務の実施に関する規程(以下この条及び次条において「業務規程」という。)が法令に適合し、かつ、この法律の定めるところにより紛争解決等業務を公正かつ的確に実施するために十分であると認められること。

 第三項の規定により意見を聴取した結果、手続実施基本契約(紛争解決等業務の実施に関し指定紛争解決機関(この項の規定による指定を受けた者をいう。第五項、次条及び第四十三条第二号において同じ。)と無尽会社との間で締結される契約をいう。以下この号及び次条において同じ。)の解除に関する事項その他の手続実施基本契約の内容(第三十五条の二の三第一項において準用する銀行法第五十二条の六十七第二項各号に掲げる事項を除く。)その他の業務規程の内容(同条第三項の規定によりその内容とするものでなければならないこととされる事項並びに同条第四項各号及び第五項第一号に掲げる基準に適合するために必要な事項を除く。)について異議(合理的な理由が付されたものに限る。)を述べた無尽会社の数の無尽会社の総数に占める割合が政令で定める割合以下の割合となったこと。

 前項に規定する「無尽業務関連苦情」とは、無尽業務(無尽会社が営む無尽業及び他の法律により営む業務並びに当該無尽会社のために代理店主が営む代理事務をいう。以下この項において同じ。)に関する苦情をいい、前項に規定する「無尽業務関連紛争」とは、無尽業務に関する紛争で当事者が和解をすることができるものをいう。

 第一項の申請をしようとする者は、あらかじめ、内閣府令で定めるところにより、無尽会社に対し、業務規程の内容を説明し、これについて異議がないかどうかの意見(異議がある場合には、その理由を含む。)を聴取し、及びその結果を記載した書類を作成しなければならない。

 内閣総理大臣は、第一項の規定による指定をしようとするときは、同項第五号から第七号までに掲げる要件(紛争解決手続の業務に係る部分に限り、同号に掲げる要件にあっては、第三十五条の二の三第一項において準用する銀行法第五十二条の六十七第四項各号及び第五項各号に掲げる基準に係るものに限る。)に該当していることについて、あらかじめ、法務大臣に協議しなければならない。

 内閣総理大臣は、第一項の規定による指定をしたときは、指定紛争解決機関の商号又は名称及び主たる営業所又は事務所の所在地並びに当該指定をした日を官報で告示しなければならない。

(業務規程)

第三十五条の二の二 指定紛争解決機関は、次に掲げる事項に関する業務規程を定めなければならない。

 手続実施基本契約の内容に関する事項

 手続実施基本契約の締結に関する事項

 紛争解決等業務の実施に関する事項

 紛争解決等業務に要する費用について加入無尽会社(手続実施基本契約を締結した相手方である無尽会社をいう。次号において同じ。)が負担する負担金に関する事項

 当事者である加入無尽会社又はその顧客から紛争解決等業務の実施に関する料金を徴収する場合にあっては、当該料金に関する事項

 他の指定紛争解決機関その他相談、苦情の処理又は紛争の解決を実施する国の機関、地方公共団体、民間事業者その他の者との連携に関する事項

 紛争解決等業務に関する苦情の処理に関する事項

 前各号に掲げるもののほか、紛争解決等業務の実施に必要な事項として内閣府令で定めるもの

(銀行法の準用)

第三十五条の二の三 銀行法第七章の七(第五十二条の六十二(紛争解決等業務を行う者の指定)及び第五十二条の六十七第一項(業務規程)を除く。)(指定紛争解決機関)及び第五十六条(第二十六号に係る部分に限る。)(内閣総理大臣の告示)の規定は、紛争解決等業務に係るものにあっては紛争解決等業務(第三十五条の二第一項に規定する紛争解決等業務をいう。)について、指定紛争解決機関に係るものにあっては指定紛争解決機関(同項第八号に規定する指定紛争解決機関をいう。)について、それぞれ準用する。

 前項の場合において、同項に規定する規定中「加入銀行業関係業者」とあるのは「加入無尽会社」と、「手続実施基本契約」とあるのは「無尽業法第三十五条の二第一項第八号に規定する手続実施基本契約」と、「苦情処理手続」とあるのは「無尽業法第三十五条の二第一項に規定する苦情処理手続」と、「紛争解決手続」とあるのは「無尽業法第三十五条の二第一項に規定する紛争解決手続」と、「銀行業務等関連苦情」とあるのは「無尽業法第三十五条の二第二項に規定する無尽業務関連苦情」と、「銀行業務等関連紛争」とあるのは「無尽業法第三十五条の二第二項に規定する無尽業務関連紛争」と、銀行法第五十二条の六十三第一項中「前条第一項」とあるのは「無尽業法第三十五条の二第一項」と、「次に」とあるのは「第二号から第四号までに」と、同条第二項第一号中「前条第一項第三号」とあるのは「無尽業法第三十五条の二第一項第三号」と、同項第六号中「前条第二項」とあるのは「無尽業法第三十五条の二第三項」と、同法第五十二条の六十五第一項中「この法律」とあるのは「無尽業法」と、同条第二項中「銀行業関係業者を」とあるのは「無尽会社を」と、同法第五十二条の六十六中「他の法律」とあるのは「無尽業法以外の法律」と、同法第五十二条の六十七第二項中「前項第一号」とあるのは「無尽業法第三十五条の二の二第一号」と、同条第三項中「第一項第二号」とあるのは「無尽業法第三十五条の二の二第二号」と、「銀行業関係業者」とあるのは「無尽会社」と、同条第四項中「第一項第三号」とあるのは「無尽業法第三十五条の二の二第三号」と、同条第五項中「第一項第四号」とあるのは「無尽業法第三十五条の二の二第四号」と、同項第一号中「同項第五号」とあるのは「同条第五号」と、同法第五十二条の七十三第三項第二号中「紛争解決等業務の種別が銀行業務である場合にあつては銀行業務、紛争解決等業務の種別が電子決済等取扱業務である場合にあつては電子決済等取扱業務」とあるのは「無尽業法第三十五条の二第二項に規定する無尽業務」と、同法第五十二条の七十四第二項中「第五十二条の六十二第一項」とあるのは「無尽業法第三十五条の二第一項」と、同法第五十二条の七十九第一号中「銀行業関係業者」とあるのは「無尽会社」と、同法第五十二条の八十二第二項第一号中「第五十二条の六十二第一項第五号から第七号までに掲げる要件(」とあるのは「無尽業法第三十五条の二第一項第五号から第七号までに掲げる要件(」と、「又は第五十二条の六十二第一項第五号」とあるのは「又は同法第三十五条の二第一項第五号」と、同法第五十二条の八十三第三項中「他の法律」とあるのは「無尽業法以外の法律」と、同法第五十二条の八十四第一項中「、第五十二条の六十二第一項」とあるのは「、無尽業法第三十五条の二第一項」と、同項第一号中「第五十二条の六十二第一項第二号」とあるのは「無尽業法第三十五条の二第一項第二号」と、同項第二号中「第五十二条の六十二第一項」とあるのは「無尽業法第三十五条の二第一項」と、同条第二項第一号中「第五十二条の六十二第一項第五号」とあるのは「無尽業法第三十五条の二第一項第五号」と、「第五十二条の六十二第一項の」とあるのは「同法第三十五条の二第一項の」と、同条第三項及び同法第五十六条第二十六号中「第五十二条の六十二第一項」とあるのは「無尽業法第三十五条の二第一項」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第十章 指定紛争解決機関

紛争解決等業務を行う者の指定

第三十五条の二
内閣総理大臣は、以下の要件を満たす者を、その申請に基づき、無尽業務関連の苦情処理手続きや紛争解決手続き、及びこれに付随する業務を行う者として指定することができます。

  1. 法人であること。この法人は、人格のない社団や財団で代表者や管理人の定めがあるものを含みますが、外国の法律に基づいて設立された法人やその他の外国団体は除外されます。
  2. 過去に内閣総理大臣の指定を取り消されてから5年が経過していない者、または他の法律の規定に基づく指定が紛争解決等の業務に関連して取り消されてから5年を経過していない者ではないこと。
  3. この法律、弁護士法、またはこれに相当する外国の法律の規定に違反して罰金刑に処せられた後、その刑の執行が終了してから5年を経過している者ではないこと。
  4. 役員の中に、以下に該当する者がいないこと。
    • (イ) 心身の障害により紛争解決等業務に関する職務を適切に実行できない者。
    • (ロ) 破産手続きの開始決定を受け、復権を得ていない者、または外国法においてこれと同等とされる者。
    • (ハ) 禁錮以上の刑に処され、その刑の執行が完了してから5年が経過していない者、またはその刑の執行が免除された者。
    • (ニ) 指定の取消しを受けた場合、または指定取消しの1ヶ月以内にその法人の役員であった者で、取消しの日から5年を経過していない者。これには、外国の法律に基づく同等の行政処分を受けた場合も含まれる。
    • (ホ) この法律や弁護士法、またはこれらに相当する外国の法律に違反し、罰金刑に処され、その刑の執行が終わり、またはその刑の執行がなくなった日から5年を経過していない者。
  5. 紛争解決等の業務を適切に実施するために必要な経理的及び技術的な基盤を持つこと。
  6. 役員や職員の構成が、紛争解決等の業務を公正に実施する上で障害とならないこと。
  7. 紛争解決等の業務を実施するための業務規程が、法令に適合しており、公正かつ適切に業務を行うために十分だと認められること。
  8. 意見を聴取した結果、手続実施基本契約の解除やその他の内容について、合理的な理由を持って異議を述べた無尽会社の割合が、政令で定める割合以下であること。
    • 「無尽業務関連苦情」とは、無尽業務に関連する苦情のことを指し、「無尽業務関連紛争」とは、無尽業務に関連する紛争で、当事者間で和解可能なものを指します。
    • 指定を申請しようとする者は、事前に無尽会社に対して業務規程の内容を説明し、それに対する異議がないかを確認し、その結果を記載した書類を作成する必要があります。
    • 指定を行う際、内閣総理大臣は、法務大臣と協議し、紛争解決手続きに関連する部分の要件に該当することを確認しなければなりません。
    • 指定を行った際は、指定紛争解決機関の商号や名称、主たる営業所または事務所の所在地、指定日を官報で告示しなければなりません。
  1. 前項で述べられた「無尽業務関連苦情」は、無尽会社が行う無尽業務やその他の法律に基づく業務、及び代理店主が無尽会社のために行う代理事務に関連する苦情を指します。また、「無尽業務関連紛争」は、無尽業務に関連する紛争であり、当事者間で和解が可能なものを意味します。
  2. 指定を申請する者は、無尽会社に対して業務規程の内容をあらかじめ説明し、その内容に対する異議の有無や理由を聴取し、その結果を記載した書類を作成する必要があります。
  3. 内閣総理大臣は、指定を行う際に、紛争解決手続に関連する特定の要件(第五号から第七号までに掲げる要件)について法務大臣とあらかじめ協議する必要があります。
  4. 内閣総理大臣が指定を行った場合、指定紛争解決機関の商号や名称、主たる営業所や事務所の所在地、そして指定日を官報にて告示しなければなりません。

業務規程
第三十五条の二の二

指定紛争解決機関は、以下に挙げる事項を含む業務規程を設定しなければなりません。

  1. 手続実施基本契約の内容に関わる事項。
  2. 手続実施基本契約の締結に関わる事項。
  3. 紛争解決等業務の実施に関わる事項。
  4. 紛争解決等業務に必要な費用として、加入無尽会社が負担するべき負担金に関わる事項。
  5. 加入無尽会社またはその顧客から紛争解決等業務の実施に関連して料金を徴収する場合の、当該料金に関わる事項。
  6. 他の指定紛争解決機関や相談、苦情処理、紛争解決を行う国の機関、地方公共団体、民間事業者その他の者との連携に関わる事項。
  7. 紛争解決等業務に関連する苦情の処理に関わる事項。
  8. 上記に列挙したもの以外で、紛争解決等業務の実施に必要とされる事項を内閣府令で定めます。

銀行法の準用
第三十五条の二の三

  1. 銀行法の特定の部分(紛争解決等業務を行う者の指定と業務規程に関する部分を除く)が、紛争解決等業務および指定紛争解決機関に関して準用されます。これにより、紛争解決等業務を行う指定紛争解決機関およびその業務に関連する様々な要素に、銀行法の規定が適用されることになります。
  2. 銀行法の特定の表現は、無尽業法の文脈に合わせて読み替えられます。例えば、「加入銀行業関係業者」は「加入無尽会社」に、「手続実施基本契約」は「無尽業法に基づく手続実施基本契約」に、「苦情処理手続」と「紛争解決手続」はそれぞれ無尽業法における対応する手続に読み替えられます。同様に、「銀行業務等関連苦情」と「銀行業務等関連紛争」は無尽業に関連する苦情や紛争に言及する形で適用されます。
第十一章 雑則

第十一章 雑則

(届出事項)

第三十五条の二の四 無尽会社は、営業を開始したとき、その他内閣府令で定める場合に該当するときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

(無尽会社の公告方法)

第三十五条の二の五 無尽会社は、公告方法として、次に掲げる方法のいずれかを定款で定めなければならない。

 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法

 電子公告(会社法第二条第三十四号(定義)に規定する電子公告をいう。次条において同じ。)

(電子公告による公告をする期間)

第三十五条の三 無尽会社が電子公告によりこの法律又は他の法律の規定による公告(会社法の規定による公告を除く。)をする場合には、次の各号に掲げる公告の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める日までの間、継続して電子公告による公告をしなければならない。

 第十七条第三項の規定による公告 電子公告による公告を開始した日後五年を経過する日

 公告に定める期間内に異議を述べることができる旨の公告 当該期間を経過する日

 前各号に掲げる公告以外の公告 電子公告による公告を開始した日後一月を経過する日

 会社法第九百四十条第三項(電子公告の公告期間等)の規定は、無尽会社が電子公告によりこの法律又は他の法律の規定による公告(会社法の規定による公告を除く。)をする場合について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(権限の委任)

第三十五条の四 内閣総理大臣は、この法律による権限(次に掲げるものを除く。)を金融庁長官に委任する。

 第二条第一項の免許

 第二十五条又は第二十六条の規定による営業の免許の取消し

(財務大臣への資料提出等)

第三十五条の五 財務大臣は、その所掌に係る金融破たん処理制度及び金融危機管理に関し、無尽業に係る制度の企画又は立案をするため必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。

 財務大臣は、その所掌に係る金融破たん処理制度及び金融危機管理に関し、無尽業に係る制度の企画又は立案をするため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、無尽会社に対し、資料の提出、説明その他の協力を求めることができる。

第十一章 雑則

届出事項

第三十五条の二の四
無尽会社は、営業を開始する際や内閣府令で定めるその他の場合に該当する時は、内閣府令に定められた方法で、その旨を内閣総理大臣に届け出なければなりません。

無尽会社の公告方法

第三十五条の二の五
無尽会社は、公告方法として以下のいずれかを定款で定める必要があります。

  1. 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙への掲載。
  2. 電子公告。

電子公告による公告をする期間

第三十五条の三
無尽会社が電子公告により法律の規定に基づく公告を行う場合、以下の各号に定める公告の種類に応じて、指定された期間内継続して電子公告を行わなければなりません。

  1. 第十七条第三項の規定に基づく公告:電子公告を開始した日から5年を経過する日まで。
  2. 異議を述べることができる旨の公告:指定された期間を経過する日まで。
  3. 上記以外の公告:電子公告を開始した日から1ヶ月を経過する日まで。

会社法の特定の規定は、無尽会社が電子公告により公告を行う場合に準用されます。

権限の委任

第三十五条の四
内閣総理大臣は、この法律に基づく権限(特定のものを除く)を金融庁長官に委任することができます。

財務大臣への資料提出等

第三十五条の五

  1. 財務大臣は、金融破綻処理制度及び金融危機管理に関する企画や立案のため、必要があると判断した際に、内閣総理大臣に対して資料の提出や説明を求めることができます。
  2. 特に必要があると認められる場合、財務大臣は無尽会社に対して資料の提出、説明その他の協力を要請することが可能です。
第十二章 罰則

これらの罰則は、無尽業法の規定に違反した行為に対して課されるものであり、無尽業の適正な運営を確保するための措置です。

第十二章 罰則

第三十六条 内閣総理大臣ノ免許ヲ受ケズシテ無尽業ヲ営ミタル者ハ三年以下ノ懲役若ハ三百万円以下ノ罰金ニ処シ又ハ之ヲ併科ス

第三十七条 次ノ各号ノ何レカニ該当スル者ハ一年以下ノ懲役若ハ三百万円以下ノ罰金ニ処シ又ハ之ヲ併科ス

 第三十五条の二の三第一項ニ於テ準用スル銀行法(以下銀行法ト謂フ)第五十二条の六十三第一項ノ規定ニ依ル指定申請書又ハ同条第二項ノ規定ニ依リ之ニ添付スベキ書類若ハ電磁的記録ニ虚偽ノ記載又ハ記録ヲシテ之等ヲ提出シタル者

 銀行法第五十二条の六十九ノ規定ニ違反シタル者

 銀行法第五十二条の八十第一項ノ規定ニ依ル報告書ヲ提出セズ又ハ虚偽ノ記載ヲ為シタル報告書ヲ提出シタル者

 銀行法第五十二条の八十一第一項若ハ第二項ノ規定ニ依ル報告若ハ資料ノ提出ヲセズ若ハ虚偽ノ報告若ハ資料ノ提出ヲ為シ又ハ之等ノ規定ニ依ル当該職員ノ質問ニ対シテ答弁ヲ為サズ若ハ虚偽ノ答弁ヲ為シ若ハ之等ノ規定ニ依ル検査ヲ拒ミ、妨ゲ、若ハ忌避シタル者

 銀行法第五十二条の八十二第一項ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者

第三十七条ノ二 銀行法第五十二条の六十四第一項ノ規定ニ違反シテ其ノ職務ニ関シテ知リ得タ秘密ヲ漏ラシ又ハ自己ノ利益ノ為ニ使用シタル者ハ一年以下ノ懲役若ハ百万円以下ノ罰金ニ処シ又ハ之ヲ併科ス

第三十八条 次ノ場合ニ於テハ取締役、執行役、会計参与(会計参与法人ナルトキハ其ノ職務ヲ行フベキ社員以下本条ニ於テ同ジ)、監査役、支配人若ハ清算人又ハ第二十一条ノ六ノ規定ニ依ル管理ノ受託無尽会社ノ取締役、執行役、会計参与、監査役若ハ支配人ヲ一年以下ノ懲役又ハ百万円以下ノ罰金ニ処ス

 業務報告書又ハ監査書ノ虚偽ノ記載、虚偽ノ公告其ノ他ノ方法ニ依リ官庁又ハ公衆ヲ欺罔シタルトキ

 第二十三条ノ規定ニ依ル検査ニ際シ帳簿書類ノ隠蔽、虚偽ノ申立其ノ他ノ方法ニ依リ検査ヲ妨ゲタルトキ

第三十八条ノ二 銀行法第五十二条の七十一若ハ第五十二条の七十三第九項ノ規定ニ依ル記録ノ作成若ハ保存ヲセズ、又ハ虚偽ノ記録ヲ作成シタル者ハ百万円以下ノ罰金ニ処ス

第三十八条ノ三 銀行法第五十二条の八十三第一項ノ認可ヲ受ケズシテ紛争解決等業務ノ全部若ハ一部ノ休止又ハ廃止ヲシタル者ハ五十万円以下ノ罰金ニ処ス

第三十八条ノ四 次ノ各号ノ何レカニ該当スル者ハ三十万円以下ノ罰金ニ処ス

 銀行法第五十二条の六十八第一項ノ規定ニ依ル報告ヲ為サズ又ハ虚偽ノ報告ヲ為シタル者

 銀行法第五十二条の七十八第一項、第五十二条の七十九若ハ第五十二条の八十三第二項ノ規定ニ依ル届出ヲ為サズ又ハ虚偽ノ届出ヲ為シタル者

 銀行法第五十二条の八十三第三項若ハ第五十二条の八十四第三項ノ規定ニ依ル通知ヲ為サズ又ハ虚偽ノ通知ヲ為シタル者

第三十八条ノ五 次ノ場合ニ於テハ取締役、執行役、監査役若ハ支配人又ハ第二十一条ノ六ノ規定ニ依ル管理ノ受託無尽会社ノ取締役、執行役、監査役若ハ支配人ヲ十万円以下ノ罰金ニ処ス

 第十二条ノ二ノ規定ニ違反シタルトキ

 第三十五条の二の四ノ規定ニ依ル届出ヲ為サズ又ハ虚偽ノ届出ヲ為シタルトキ

第三十九条 法人(法人ニ非ザル社団又ハ財団ニシテ代表者又ハ管理人ノ定アルモノヲ含ム以下本項ニ於テ同ジ)ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務又ハ財産ニ関シ次ノ各号ニ掲グル規定ノ違反行為ヲ為シタルトキハ其ノ行為者ヲ罰スルノ外其ノ法人ニ対シ当該各号ニ定ムル罰金刑ヲ、其ノ人ニ対シテ各本条ノ罰金刑ヲ科ス

 第三十七条(第二号ヲ除ク) 二億円以下ノ罰金刑

 第三十六条、第三十七条第二号又ハ第三十七条ノ二乃至前条 各本条ノ罰金刑

 前項ノ規定ニ依ル法人ニ非ザル社団又ハ財団ヲ処罰スル場合ニ於テハ其ノ代表者又ハ管理人ガ其ノ訴訟行為ニ付其ノ社団又ハ財団ヲ代表スルノ外法人ヲ被告人又ハ被疑者トスル場合ノ刑事訴訟ニ関スル法律ノ規定ヲ準用ス

第四十条 銀行法第五十二条の七十六ノ規定ニ違反シタル者ハ百万円以下ノ過料ニ処ス

第四十一条 次ノ場合ニ於テハ取締役、執行役、会計参与若ハ其ノ職務ヲ行フベキ社員、監査役、支配人、代理店主(代理店主法人ナルトキハ其ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、執行役其ノ他法人ノ代表者)若ハ清算人又ハ第二十一条ノ六ノ規定ニ依ル管理ノ受託無尽会社ノ取締役、執行役、会計参与若ハ其ノ職務ヲ行フベキ社員、監査役若ハ支配人ヲ十万円以下ノ過料ニ処ス但シ其ノ行為ニ付刑ヲ科スベキトキハ此ノ限ニ在ラズ

 第五条、第七条、第八条、第十条、第十三条、第十四条、第十七条又ハ第十九条ノ規定ニ違反シタルトキ

 第六条ノ規定ニ依リ定メタル営業区域外ニ於テ営業ヲ為シタルトキ

 無尽会社ガ第十二条ノ規定ニ違反シタルトキ

 正当ノ理由ナクシテ第二十条ノ説明書ノ交付ヲ拒ミ又ハ之ニ虚偽ノ記載ヲ為シタルトキ

四ノ二 第二十一条ノ四ノ規定ニ違反シテ事業ノ全部又ハ一部ノ譲渡又ハ譲受ヲ為シタルトキ

 本法ニ依リ無尽会社ニ備ヘ置クベキ書類ノ備付若ハ内閣総理大臣ニ提出スベキ書類又ハ電磁的記録ノ提出ヲ怠リ、之ニ記載若ハ記録スベキ事項ヲ記載若ハ記録セズ又ハ之ニ虚偽ノ記載若ハ記録ヲ為シタルトキ

 第二十四条、第二十五条、第二十八条又ハ第三十一条ノ規定ニ依リ内閣総理大臣又ハ裁判所ノ為シタル命令ニ違反シタルトキ

 本法ニ基キテ発スル命令ニ違反シタルトキ

第四十二条 第十二条ノ規定ニ違反シタル取締役、執行役、会計参与若ハ其ノ職務ヲ行フベキ社員、監査役、使用人又ハ代理店主(代理店主法人ナルトキハ其ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、執行役其ノ他法人ノ代表者)ハ十万円以下ノ過料ニ処ス

 前項ノ場合ニ於テハ無尽会社又ハ第二十一条ノ六ノ規定ニ依ル管理ノ受託無尽会社ノ取締役、執行役、会計参与若ハ其ノ職務ヲ行フベキ社員及監査役ヲ十万円以下ノ過料ニ処ス

第四十三条 次ノ各号ノ何レカニ該当スル者ハ十万円以下ノ過料ニ処ス

 第四条第二項ノ規定ニ違反シタル者

 銀行法第五十二条の七十七ノ規定ニ違反シテ其ノ名称又ハ商号中ニ指定紛争解決機関ト誤認サレル虞アル文字ヲ使用シタル者

第十二章 罰則

無尽業の無許可営業

第三十六条
内閣総理大臣の免許を受けずに無尽業を営んだ者は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはその両方に処されます。

虚偽申告等

第三十七条
以下のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはその両方に処されます。

  1. 指定申請書やそれに添付すべき書類に虚偽の記載をした者。
  2. 指定を受けるための報告書に虚偽の記載をした者。
  3. 必要な報告や資料の提出を怠った、または虚偽の報告や資料を提出した者。
  4. 命令に違反した者。

第三十七条の二
職務上知り得た秘密を漏洩した、または自己の利益のために使用した者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、あるいはその両方に処されます。

虚偽の報告書等の提出

第三十八条
以下の場合には、取締役、執行役員、会計参与、監査役、支配人、清算人が1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。

  1. 虚偽の業務報告書や監査書の提出。
  2. 検査時に帳簿書類の隠蔽や虚偽の申立を行った。

記録の作成や保存の違反

第三十八条の二
適切な記録の作成や保存をせず、または虚偽の記録を作成した者は、100万円以下の罰金に処されます。

紛争解決等業務の休止や廃止の違反

第三十八条の三
紛争解決等業務の一部または全部の休止または廃止を認可なく行った者は、50万円以下の罰金に処されます。

その他の違反

第三十八条の四・五、第三十九条、第四十条、第四十一条
業務規程の違反、適切な届出や報告の怠慢、虚偽の届出や報告、その他法律に基づく命令に違反した場合などには、罰金または過料に処されます。

*法令の情報 · 法律番号:昭和6年法律第42号 · 公布年月日:昭和6年4月1日 · 法令の形式:法律 · 効力:有効 · 分類: 金融/金融機関/無尽・その他

免責事項

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無尽講 の今後の展望

無尽講は、日本の伝統的な金融システムであり、地域やコミュニティとの密接な関係性を持っています。現代においても、その柔軟性やアクセシビリティから、多くの人々に親しまれています。近年、フィンテック技術の発展とともに、無尽講もさらなる変革と発展が期待されています。

デジタル技術を活用した無尽講プラットフォームが登場することで、参加者同士がオンラインで資金を出し合い、運用することが可能になります。このようなオンライン無尽講プラットフォームは、遠隔地にいる参加者同士でも、手軽に無尽講に参加できる利便性を提供します。さらに、デジタル技術を活用することで、資金の管理や運用が効率化され、参加者はより安全かつ迅速に資金繰りを行うことができます。

また、無尽講は地域金融機関との連携を通じて、金融サービスの多様化に貢献することが期待されています。地域金融機関やNPO、社会福祉法人が主催する無尽講は、地域経済の活性化や社会福祉向上を目指しており、地域に密着した金融サービスが提供されることが期待されます。無尽講と地域金融機関が連携を強化することで、地域のニーズに応える金融サービスが展開され、さらに多くの人々が無尽講を利用することができるようになります。

また、無尽講がフィンテック技術と融合することで、新たな金融サービスが生まれることが考えられます。例えば、ブロックチェーン技術を利用した無尽講プラットフォームが開発されることで、取引の透明性やセキュリティが向上し、無尽講がより安全で利便性の高い金融サービスとして活用されることが期待されます。

さらに、無尽講は社会的インパクト投資としての役割も担うことが期待されます。社会的インパクト投資とは、投資活動が持続可能で環境に優しく、社会的課題解決に貢献することを重視する考え方です。無尽講がこの流れに乗って、地域の環境保全や社会福祉向上に関与する取り組みが展開される可能性があります。

例えば、無尽講の資金を使って、再生可能エネルギー事業や地域の福祉施設の整備に投資することで、地域社会にポジティブなインパクトを与えることができます。また、無尽講を通じた資金調達が、地域の中小企業やスタートアップ企業の事業展開を支援し、地域経済の活性化につながることも期待されます。

世界で活用される 無尽講 ROSCA

ロスカ ROSCA、またはRoSCAs(Rotating Savings and Credit Association:回転型貯蓄信用講)は、メンバー間での非公式な貯蓄・融資システムであり、日本の伝統的な無尽講と同様に、信頼と共同体の絆に基づいて定期的にお金を集め、その中から一人に支給する形式を採っています。

RoSCAsとは?

RoSCAsの参加者は定期的に一定額を共同の「ポット」に入金し、このポットは毎回、グループ内の一人のメンバーにまるごと支給されます。これが複数回続けられ、全員が一度ずつ受取人となるまで続けられます。基本的に、RoSCAsは信頼に基づくグループ間の貯蓄と融資のメカニズムになっています。発展途上国で活用され金融システムの乏しい農村で役立っています。

RoSCAsについて
外部サイトで解説します。
<a href="https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/uF8TSsJ_upY?utm_source=unsplash&utm_medium=referral&utm_content=creditCopyText">Unsplash</a>の<a href="https://unsplash.com/ja/@amlan99?utm_source=unsplash&utm_medium=referral&utm_content=creditCopyText">Amlan Saha Kundu</a>が撮影した写真

こちらに、途上国の農村で活用されるROSCAについての解説動画があります!なぜ農村部で活用されるのか?等について詳しくのでられているのでとても勉強になります。無尽講が社会に役立つ、人々を救う事例としてとても分かりやすいですよ。

「無尽」が途上国農村を救う? ROSCA解説【voicepeak解説】

RoSCAsの特徴

  1. 非公式: 通常、銀行や金融機関とは関連がなく、非公式にグループのメンバー間で運営されます。
  2. 信頼: メンバーはお互いを信頼している必要があり、しばしば家族、友人、または地域社会のメンバーから成り立っています。
  3. アクセス: 銀行や他の金融サービスにアクセスできない人々にとっての代替手段として存在します。

RoSCAsの利点

  1. 単純さ: 複雑な手続きや書類が不要で、参加のハードルが低い。
  2. 助け合い: 経済的に困難な時期や緊急時に資金を必要とするメンバーに早い段階で支援を提供できる。
  3. 無利息: 通常、利息が発生しないため、借入コストが発生しません。

RoSCAsの欠点

  1. リスク: 何らかの理由で一部のメンバーが納付を怠ると、他のメンバーに損失が生じる可能性がある。
  2. 非公式: 法的な保護がないため、紛争が発生した場合の解決が難しい。

日本においても、類似したシステムが「無尽」や「講」の名前で知られています。これらのシステムは、特定のコミュニティーやグループ内での貯蓄や投資の手段として利用されてきました。

RoSCAsは、世界中の多くの文化や地域で見られる伝統的な金融システムの一つです。それぞれの文化や地域によって名称や運営の方法が異なる場合がありますが、基本的な概念は同じです。

世界中で行われているRoSCAs

RoSCAs(Rotating Savings and Credit Associations)は、特に銀行や伝統的な金融機関へのアクセスが限られている地域やコミュニティで、広く利用されています。これは世界中の多くの国や文化で見られる非公式の金融システムです。以下は、RoSCAsが活発に行われているいくつかの地域や国の例と、それぞれの地域での呼称です。

  1. アフリカ:
    • アフリカ(フランス起源):トンタイン「Tontine」)元々はフランス起源で、アフリカの多くの地域でも見られる相互扶助のシステム。
    • ウェストアフリカ(ナイジェリアを含む):エスクー「Esusu」や「Ajo」として知られています。特にナイジェリアで見られる伝統的な貯蓄・融資グループ。
    • 東アフリカ(ケニア、ウガンダ、タンザニアなど):チャマ「Chama」や「Chilimba」。ケニアやタンザニアで見られる集金・融資のグループ。
    • エチオピア:「Equb」と呼ばれます。
  2. アジア:
    • インド:パルダディ「Pardadi」「Chit funds」として知られています。インドの一部地域で行われる相互扶助制度。
    • フィリピン:「Paluwagan」。
    • インドネシア:「Arisan」として知られる。
    • ベトナム:ホイ・ロー「Hoi loe」ベトナムの伝統的な相互扶助の制度。
  3. 中南米:
    • メキシコや他のラテンアメリカ諸国:「Tanda」や「Cundina」として知られることが多い。
  4. 中東:
    • レバノンやシリア:「Tontine」と呼ばれることもあります。
  5. 他の地域:
    • カリブ諸国:ソス「Sou-Sou」や「Susu」として知られています。カリブ地域での伝統的な貯蓄・融資のシステム。

これらのシステムは、各地域や国の文化や経済状況に適応して、独自の特性や規則を持っています。それにもかかわらず、その基本的な原理は、メンバー間での共同貯蓄と融資を通じて、経済的なサポートを提供するというものです。

RoSCAsと無尽講の主な違い:

無尽講は日本の文化と深く結びついており、その運営方法やルールが日本独特であることがあります。一方、RoSCAsは、概念としては無尽講に似ていますが、世界中の様々な地域や文化で見られるもので、各地域によって微妙に異なる特性や規則を持っています。

要するに、無尽講とRoSCAsは、基本的な概念や目的が非常に似ているものの、運営方法や文化的背景において異なる特性を持っています。両者とも、信頼を基盤とした共同の金融システムとしての役割を果たしています。

新しい価値観の創出

DAO(分散型自律組織)やティール組織の特徴を取り入れた無尽講の活用事例は、新しいタイプのコミュニティ経済を形成し、メンバー間で資金やリソースを効果的に共有することを目指しています。以下にそのような事例をご紹介します。

例:エコビレッジ・プロジェクト

このプロジェクトは、持続可能なコミュニティと地域活性化を目指し、DAOとティール組織の要素を組み合わせた無尽講を活用しています。エコビレッジ・プロジェクトは、地域住民や参加者が互いに資金やリソースを共有し、環境に配慮した地域開発や再生可能エネルギーの普及、地域産業の振興などに取り組んでいます。

プロジェクトでは、DAOの技術を用いて、分散型で透明性の高い資金管理と意思決定を行います。また、ティール組織の自律性や柔軟性を活かし、参加者同士が自主的にプロジェクトに関与し、協力しながら目標達成を目指します。

この事例では、無尽講の基本的な仕組みを維持しつつ、新たな価値観や技術を取り入れることで、コミュニティ全体の持続可能性や自立性を高め、地域の発展に貢献しています。

デジタル庁のWeb3.0研究会では、無尽講とDAOについての話題が出ています。

DAOと無尽講の共通点

DAO(分散型自律組織)と無尽講の共通点は、両者ともにメンバー間で資金やリソースを共有し、互いに助け合いながら目標を達成する仕組みを持っていることです。また、参加者同士の信頼関係やコミュニケーションが重要な役割を果たし、コミュニティの一体感を高めることを目指しています。さらに、両者ともにトップダウン型の組織構造ではなく、より民主的で分散型の意思決定プロセスが特徴的です。

DAOとは?

DAOとは、特定の所有者や管理者が存在せずとも、事業やプロジェクトを推進できる組織を指す言葉です。

DAOは、株式会社をはじめとする従来の組織とは根本的に異なっており、Web3.0が本格化する時代において盛り上がる組織形態として注目されています。

DAOについて
外部サイトで解説します。

ティール組織と無尽講の特徴を活用する

ティール組織と無尽講は、それぞれ異なる分野において独自の良さを持っていますが、その特徴を活用することで、現代のビジネスやコミュニティにおいて価値を提供することができます。

ティール組織は、柔軟で自律的な組織構造が特徴であり、ヒエラルキーが低いことで個人の意思決定や創造性が重視されます。これにより、従業員のやる気や働きやすさが向上し、組織全体のパフォーマンスやイノベーション力が向上することが期待されます。

一方、無尽講は、参加者同士が資金やリソースを共有し、互いに助け合いながら資金繰りを行うことができる仕組みです。無尽講は社会的つながりを強化し、参加者同士の信頼関係やコミュニケーションが深まることで、コミュニティの一体感が高まります。

ティール組織と無尽講の良さを活かすことで、現代のビジネスやコミュニティはより持続可能で、経済的な自立が促進されるとともに、地域活性化やネットワーク形成が促進されることが期待できます。これらの価値を理解し、適切な形で取り入れることが、組織やコミュニティにおいて重要な役割を果たすことでしょう。

以下に、無尽講、DAO(分散型自律組織)、およびティール組織の比較表を作成しました。
組織運営をするのに参考にしてください。

項目無尽講DAOティール組織
目的資金調達・融資トークン保有者による意思決定と資金調達自己組織化された意思決定と組織運営
基本構造地域コミュニティ内で信用関係に基づくブロックチェーン技術を利用した分散型組織階層構造を持たない自己組織化された組織
合法性合法的法的規制が異なる国・地域がある合法的
持続性持続可能プロジェクト・コミュニティ次第持続可能
参加者の利益・影響力資金調達・融資が可能トークン保有者が意思決定に参加・影響組織内で自己組織化し意思決定に参加
リスク信頼関係が重要であるため限定的技術的リスク、規制リスクがある組織運営に関する実践の習熟が必要

無尽講は、信用関係に基づいて資金調達・融資を行う合法的で持続可能なシステムです。一方、DAOは、ブロックチェーン技術を利用した分散型組織で、トークン保有者による意思決定と資金調達が行われます。法的規制が異なる国・地域があり、持続性はプロジェクトやコミュニティ次第です。ティール組織は、階層構造を持たず、自己組織化された組織で、持続可能で合法的ですが、組織運営に関する実践の習熟が必要です。

無尽講の今後の展望としては、フィンテック技術との融合が進み、オンライン無尽講プラットフォームの普及や資金管理・運用の効率化が実現されることが予想されます。また、地域金融機関との連携や社会的インパクト投資への展開が進むことで、無尽講が地域社会や個人のニーズに応える金融サービスとして発展していくことが期待されます。これらの展開により、無尽講はさらに多様化し、地域の持続可能な発展や社会課題解決に貢献する金融サービスとしての役割を果たすでしょう。

実践的開かれている無尽講

実験的な「講」の運営 逃げれるように支援する『逃避講』

体験作家でありOzone合同会社のCEO、多くの社会実験を手がけるアメミヤユウさんは学生時代から教育分野で活躍し、独自のビジョンで数々のプロジェクトを成功させています。多様なクリエイティブ活動を展開し、横浜に新たな拠点「逃げBar White Out」を開店し、新たな拠点を確立しているこの方は、逃避講という「講」のプロジェクトもしていました。

こちらの動画は、その逃避講というプロジェクトを始める際に、無尽講のレクチャーをされてた時のウェビナーです。
わりと濃い内容で解説されていますので興味あって深堀りしたい人はこちらの動画もどうぞ!

逃避講は逃げたいことがある人たちが集い、逃げたいことを分かち合い、共に逃げ方を学び、共に逃がし合う、共助ネットワーク的「講」です。

無尽講 まとめ

無尽講 は、鎌倉時代から続く日本独自の金融システムであり、その歴史と活用方法を理解することは、資金調達や投資に役立ちます。無尽講を利用する際には、違法無尽講や信用リスクに注意し、法律や規制を遵守することが大切です。デジタル技術や地域金融機関との連携が進む中で、無尽講は今後も経済活動を支える存在として期待されています。

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