現代において「自分のウェブサイトを持つこと」は、個人・企業を問わず、広く実践されるようになりました。独自ドメインを取得し、自らの発信の場をつくることは、かつてに比べてずっと手軽で、身近な営みとなっています。
その代表例が、企業によるオウンドメディアです。ブランディングや情報発信の手段として、戦略的に設計されたこのメディアは、一見すると自分たちの言葉で語る「自由なメディア」に見えます。
一方で、まったく同じように「自分のサイトを持つ」ことを選びながら、まったく異なる動機と思想に基づいて展開されている運動があります。それがIndieWeb( インディウェブ )です。IndieWebでは、中央集権的なプラットフォームから距離をとり、個人が自律的にウェブ上の主権を取り戻すことが目指されています。
どちらも“自分のメディア”を持つという点では似ているかもしれません。けれど、その「自由」が、誰のために設計されているのか?その問いに立ち返ってみると、両者の間には決定的なズレが存在することに気づきます。
私たちは、このような形式の一致と、内実の乖離にどう向き合えばよいのでしょうか?その答えのひとつとして、TarCoon☆CarToonが示しているのが、「思想としてのメディア」のあり方です。
今や誰もが発信者。ブログやSNSを持って「自分の声」を世の中に届けられる時代です。
でも、その「自分の声」は本当に“自分のもの”と言えるのでしょうか?
ここでは、よく耳にする「オウンドメディア」と、あまり知られていないけど大切な思想である「IndieWeb Movement」を比較しながら、
“本当に自分のメディアを持つ”ってどういうこと?”を一緒に考えてみたいと思います。
オウンドメディアって何?
「オウンドメディア(Owned Media)」は、企業や個人が自分で運営しているメディアのこと。
たとえば、会社の公式サイト、キャンペーンブログ、noteやポートフォリオサイトも含まれます。
目的は明快。「ブランド価値を高めたい」「売上につなげたい」「認知度をあげたい」
つまり、“戦略的な自由”が働く場です。
でもそこには、こんな構造があります:
- ターゲットが想定されている
- 成果がKPIで測定される
- メディアは資産化され、運用される
要するに、「自由」とは言っても、それは“計算された自由”なんですよね。
IndieWebって何?
一方で、「IndieWeb(インディウェブ)」という運動があります。
これはざっくり言えば、**「インターネットを企業に任せっぱなしにせず、自分の居場所を自分でつくろう」**という思想です。
- 独自ドメインを持つ
- 自分のウェブサイトを運営する
- SNSとは別に情報を発信する
- コンテンツは“自分のもの”として保存される
ここでの「自由」はもっと根源的です。
“他人のルールに従わない、存在そのものとしての自由”が目指されています。
見た目は地味かもしれないけど、思想はかなりラディカル。たとえるなら、「ゲリラ的な自己表現」のようなもの。
オウンドメディア=右翼的?インディウェブ=左翼的?
ちょっと過激に聞こえるかもしれませんが、こんなふうにも考えられます。
比喩的に見ると… | オウンドメディア(右翼的) | IndieWeb(左翼的) |
---|---|---|
構造 | 中央集権・ブランド管理 | 分散・DIY精神 |
自由のかたち | 設計された自由 | 解放された自由 |
関係性 | ターゲティング・支配的 | 共振・自律的 |
所有感 | 資産としての所有 | 存在としての所有 |
ここでの「右翼/左翼」は政治思想ではなく、構造や価値観の傾向をあらわした比喩です。
オウンドメディアは、近代的秩序の中にある「正しい自己表現」。
IndieWebは、その外側から新しい関係性を模索する「逸脱的な実験」とも言えるかもしれません。
TarCoon☆CarToonはそのあいだをゆらめく
さて、TarCoon☆CarToonの活動はどっちに属するのでしょう?
- 公式サイト(tarcoon.me)を独自ドメインで運営
- ZINE『トゥゥゥウウン!!』を自分たちで出版
- 寄稿者を募って分散的に編集する
- SNSに頼らず、でも接続は開かれている
つまり、“オウンドメディア的な形をして、IndieWeb的な思想を宿す”
そんな、境界のあいだに立っているのがTarCoon☆CarToonなんです。
戦略でもなく、ただの自己表現でもない。
これは一種の「思想装置」としてのメディアなんです。
本当に「あなたのメディア」はあなたのものですか?
- オウンドメディアは「管理された自由」
- IndieWebは「解放された自由」
- そしてTarCoon☆CarToonは「問いかける自由」
ネットに“居場所”をつくること。
それは、ただサイトを持てばいいという話ではありません。
どんな構造で、誰のルールで、どんな思想のもとに、その場所があるのか?を問い直すことが、今いちばん大切なのかもしれません。
最後まで読んでくれてありがとう。
もしあなたも「本当に自分の声を持ちたい」と思ったなら、どこかでぼくらと交差できるかもしれません。
ZINE『トゥゥゥウウン!!』も随時寄稿者募集中です。
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